Kanbunken 環境文化創造研究所

COLUMN

- コラム

弊所発行の「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

水と健康(2)

クリンネス編集室

地下水と水道水

 夏の井戸水(地下水)は、どうしておいしく感じるのでしょうか。
 水道水と比較してみましょう。水道水は、東京では主に河川水を水源に浄水場で処理をして作られています。沈殿、濾過、消毒の3行程により、水道法の水質基準51項目をクリアした水質を保っています。最近では、オゾン処理と生物活性炭吸着処理とを組み合わせた高度浄水処理によって、塩素(カルキ)臭やカビ臭の少ない水が供給されています。
 一方、地下水は、地表に降った雨が土壌中を通過してできるものです。地下水は、地中の地層を通過する際に、地層のフィルター作用によって多くの不純物が取り除かれます。その半面、地層の中の成分が水に移り、カルシウムやマグネシウムを含んだ地下水になります。このようにして地下水はおいしい水になるのです。
 地下水は、水が通過しにくい粘土層の上の砂・砂利層を流れているといわれています。比較的浅い10m前後の地下水を「浅層地下水」、深さ100m前後の地下水を「深層地下水」と呼ぶことがあります。一般的に、幾層もの地層を通過した深層地下水は、不純物が少なくておいしい成分を多く含んだ「おいしい水」ということができるでしょう。水道水と比べて、夏には低温の15℃くらいの清涼な水温がおいしさを引き立たせています。
(2015年7月号掲載)

熱中症と水分補給

 熱中症による事故がメディアで取り上げられることが多いのは、高温多湿な夏期です。体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、調整機能が正常に働かなかったりなどすることで、さまざまな症状が出ます。具体的には、めまい、失神、筋肉痛、筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛、吐き気、けいれん、高体温などです。発症の大きな原因は、十分な水分補給がされなかったことにあります。水分補給がない場合、脱水による血液の濃縮が起こって循環不全になり、酸素や栄養素の運搬や体温調節に障害を起こしてしまうことがあるのです。
 厚生労働省が示している「職場における熱中症の予防について」では、水分・塩分の摂取量などについて作業内容の強度により、少なくとも、0.1~0.2%の食塩水または100mLあたり40~80mgのナトリウムを含むスポーツドリンクや経口補水液などを、20~30分ごとにカップ1~2杯摂取することが望ましいとしています。
 公益財団法人日本体育協会では、運動強度と水分摂取量の目安を出しています。たとえば、マラソン、野球などの水分摂取量は、競技前に250~500mL、競技中に1時間あたり500~1,000mLです。その際に水の温度は5~15℃が望ましく、0.1~0.2%の食塩と4~8%の糖分を含んだものが有効とされています。
(2015年8月号掲載)

防災と水

 阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓から、災害発生時の断水に備えた飲み水の備蓄が重要になっています。東京都は、首都直下地震などによる被害想定を発表しており、そこではマグニチュード8.2の元禄型関東地震※ の場合、断水率を45.2%としています。
 多くの自治体では、家庭や企業などに1人1日あたり3リットルを3日間分、9リットルの飲料水の備蓄やくみ置きをお願いしています。行政機能が混乱する災害発生当初に、自身で生命を維持するためのものです。
 賞味期限に余裕があるペットボトルの水で保存したり、水道水をポリ容器や空きペットボトルに詰めたりして備蓄することも可能です。水道水をくみ置きするときは、腐りにくくするために清潔でフタのできるポリ容器などに口元まで水を入れて空気が入らないよう満水にします。消毒の塩素を含んだ水道水を入れることも、ポイントになります。
 横浜市のホームページでは、飲料水の防災豆知識が紹介されています。断水のときに供給ができる飲料水で、そのひとつが循環式地上・地下貯水槽です。普段は配水管の一部として水道水が循環していて、配水管が破裂すると自動停水弁が閉止して、貯水槽内には新鮮な飲み水が確保されます。地震災害時には、常備している手動ポンプなどの応急給水機材を取り付けて給水されます。
(2015年9月号掲載)

※ 関東地震は、その震源域によって「大正期」(相模湾)と「元禄型」(房総半島の南東沖)に区分される

手洗いの効果

 感染症対策の専門家は「感染症を防ぐ上で大切な一歩は、手洗いです。トイレに行ったとき、必ず手を洗うことです。」と言います。なぜなら、患者の体外に排出されるウイルスは汚物や吐物に多量に含まれているからです。海外でのSARS流行は、ホテル内でトイレを使用後に手を十分に洗わなかった患者の手が触れた箇所を介して広がったといわれています。日本で感染症の大きな流行が少ない要因は、子どもの頃から手洗いの習慣が徹底されているからだという意見もあります。
 手洗いの方法は、石鹸を使うのが基本です。石鹸は、その作用から細菌やウイルスを含んだ手指の汚れを取り除くことができます。石鹸は界面活性剤の一種であり、ひとつの分子の中に、油になじみやすい部分【親油基(しんゆき)】と水になじみやすい部分【親水基(しんすいき)】を持っています。親油基が汚れと結びつき、親水基が水と結びついて汚れを水の中へ流すのです。流水のみで洗う場合、汚れが手に残ってしまう可能性があります。手洗いをする前後で手の汚れを調べてみると、多量に手についていた細菌類が石鹸による手洗い後に激減していることがわかります。
 最近では、病院や駅、ホテルなど公共の場の洗面所には、利用者が不安なく使えるように、手を触れないで水や石鹸が出るセンサー式が普及してきています。
(2015年10月号掲載)

水道水を家庭で活用する

 河川水や湖沼(こしょう)水、地下水などを原水として作られる水道水には、浄水場で処理される過程で消毒用の塩素が加えられています。一般的に消毒に有効な遊離残留塩素濃度は、末端の蛇口で1リットルあたり0.4mg程度となっています。この塩素濃度は、コレラや赤痢など、水を介してうつる感染症を防ぐものです。こうした水道水を、私たちの身のまわりで飲み水以外に活用することができます。
 台所を見てみましょう。水道水による野菜の水洗いは、野菜表面の汚れを洗い流すとともに、水中の塩素によって殺菌する効果があります。家庭で井戸水を利用している場合にも食器洗いの最後に水道水ですすぐと、殺菌作用があるのでよいでしょう。冷蔵庫の製氷に使う水は、取扱説明書で「水道水を使ってください」と書かれていることがあります。これは製氷の容器や配管にカビの発生を防ぐためで、塩素がカビ発生の抑制効果を持っているのです。
 浴室のカビ発生防止にも、水道水がとても役立ちます。入浴後に、シャワーを水に切り替えて浴室の壁や床にかけます。カビの栄養源となる人の汚れや石鹸カスなどを洗い流し、表面温度を下げてカビを生えにくくするのです。同時に、水道水に含まれる塩素が、カビの発生を抑制します。
(2015年11月号掲載)

雨水を活かす

 「水道水は腐りますが、雨水は腐りません」と聞くと、不思議だと思うかもしれません。水道水の水源の河川は、生活排水や工業排水、農業排水などが入り込んで雑菌を含んでいることがあります。浄水場では、細菌などの増殖を抑えるために消毒用の塩素剤が加えられます。しかし、ビル、マンションなどの貯水槽で水道水が長時間滞留すると、塩素が蒸発して細菌が増えてしまうのです。一方、雨水の源は、もともと地表から蒸発した水分でできた雲です。したがって、雨は蒸留水といってもよいでしょう。不純物がほとんどないために、腐らないのです。実際に管理が十分ならば、屋根に降った雨を貯めた水槽の水は腐りません。
 こうした雨水の水質を踏まえて、災害発生の断水時に人の生命・健康を維持するために雨水を活用することができます。家庭の水使用量のおよそ4分の3を占めるトイレの流し水や洗濯水、風呂水として使うことが可能です。万が一、備蓄用のペットボトルの飲料水がなくなった場合にも、雨水を煮沸したり浄水器で処理したりして飲み水に使用することができると考えられます。最近では、家庭の雨樋(あまどい)に接続して雨を貯められる、容量200~300リットルのプラスチック製や金属製などの貯留タンクが数多く販売されています。東日本大震災被災地の一部の仮設住宅には、雨水貯留タンクが設置されています。
(2015年12月号掲載)

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