Kanbunken 環境文化創造研究所

COLUMN

- コラム

弊所発行の「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

おふくろの味の底ぢから(3)

管理栄養士・野菜ソムリエ 篠原絵里佳

ぶり大根

 大根は、寒さ厳しい冬になると甘みが増していっそう美味しくなります。脂がのった旬のぶりと一緒に煮る「ぶり大根」には、冬の寒さを健康的に乗り切るための栄養素が詰まっています。
 脂がのった旬のぶりには、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富です。中性脂肪やLDL(悪玉)コレステロールを減らし、血液をサラサラにする働きがあるため、動脈硬化や生活習慣病の予防に役立ちます。脂質の代謝を良くするビタミンB2も豊富で、乾燥を防いで肌や髪に潤いを与えてくれます。鉄、ビタミンB6・B12といった血液の成分の素となる栄養素も含まれるため、貧血を予防して、体を温める効果が期待できるので、寒い冬には積極的にとりたい魚です。
 ぶりのうま味たっぷりの煮汁を含んだ大根を一緒にいただけば、体がほっこりと温まります。インフルエンザ予防に効果があることで注目されているビタミンDや粘膜を強化して免疫力を高めるビタミンAも、ぶりには豊かに含まれていますので、冬の健康維持におすすめです。大根の葉をご飯に炊き込んでいただけば、抗酸化ビタミンやカルシウム、鉄といった栄養素もとり入れることができます。
 体を温めてくれるビタミン・ミネラルが豊富なぶり大根は、厳しい冬を乗り切る体を気遣う、おふくろの愛情が伝わる一品です。
(2018年1月号掲載)

ニラ玉

 緑と黄色の鮮やかさが、春を思わせるニラ玉。旬を迎えるニラは、香り高く栄養面でも優秀です。同じく栄養価の高い卵と組み合わせて作るニラ玉は、季節の変わり目にスタミナをつけてくれる優れものです。
 ニラ特有の香りは、アリシンという成分です。疲労回復に役立つビタミンB1の吸収を助ける働きがあることから、ビタミンB1が豊富な豚肉を加えれば、相乗効果で元気になれるでしょう。また、ニラには抗酸化ビタミンがすべて豊富に含まれており、なかでもビタミンEやカロテンは、脂質と一緒に摂ることで吸収率が高まります。卵にも脂質が含まれていますし、炒める際に油を使用すれば、ここでも相乗効果が得られます。紫外線やストレスなどにより発生する活性酸素を除去し、老化や生活習慣病等を予防する抗酸化ビタミンは、春先から特に摂り入れたい成分です。また、カロテンは体内に入ると必要に応じてビタミンAに変わり、ビタミンAとして働きます。ビタミンAは卵にも豊富に含まれており、皮膚や粘膜を強化する働きがあることから、風邪の予防効果が期待できます。ニラに豊富な食物繊維や緑色の色素成分には有害物質を排出する働きがあり、冬場にため込んだ有害物質を体から出すのにも一役買ってくれます。春の健康維持のために必要な成分が豊富なニラ玉は、季節の変わり目の健康を願う、おふくろの想いを感じる一品です。
(2018年3月号掲載)

ひじきの煮物

 古くから日本人に親しまれている、ひじき。ひじきの煮物は、副菜の代表格です。春にいただくひじきの煮物に添えられた旬のさやいんげんを見ると、新しい季節の訪れを感じます。
 不足しやすい栄養素として知られているカルシウムが豊富に含まれる、ひじき。骨や歯の成分となるカルシウムが不足すると、骨粗鬆症のリスクが高まります。カルシウムは吸収率の悪い栄養素ですが、ひじきの煮物に干し椎茸を入れれば、干し椎茸に豊富なビタミンDがカルシウムの吸収を高めてくれます。また、ひじきや一緒に煮る油揚げには、骨の形成に必要なビタミンKがたっぷり含まれているのも嬉しい点です。
 ひじきや、煮つけに彩りを添える人参には、カリウムがたくさん含まれます。カリウムは余分なナトリウム※ を排出する役割があることから、高血圧の予防効果が期待できます。ナトリウムの摂取量が多くなりがちな人は、積極的にとりたいものです。食物繊維も豊富なため、余分なコレステロールを排出したり血糖値の上昇を抑えるなど、生活習慣病予防にも役立つほか、便秘や大腸がんの予防効果も期待されています。
 季節を問わず、定番メニューとして食卓に並ぶひじきの煮物。私たちに不足しやすい栄養素をそっと補ってくれる、さりげないおふくろの愛情を感じる一品です。
(2018年5月号掲載)

※ 主に塩分

カレーライス

 すっかり国民食となったカレーライス。家庭によって具材やスパイスのさじ加減も異なるカレーライスは、おふくろの味の定番。カレーの香りをかぐと、おのずと食欲も増します。暑さで食欲が低下しがちな夏は、具だくさんのカレーライスが健康維持に役立ちます。
 ホクホクとしたジャガイモやとろりと甘い玉ねぎは、スパイスの効いたカレーをマイルドな口当たりにしてくれる、なくてはならない存在。ジャガイモにはビタミンCが豊富に含まれますので、免疫力を高めて夏風邪の予防に効果的です。豚肉に豊富なビタミンB1には糖質の代謝を高める働きがあるため、じゃがいもやご飯と一緒にいただくことで、疲労回復効果や夏バテ予防になります。人参のカロテンやビタミンCは抗酸化作用があり、紫外線によって発生する活性酸素を除去して、老化や生活習慣病の予防に力を発揮します。味の決め手となるカレー粉には、クミンやクローブ、カルダモン、ターメリック等さまざまなスパイスが使われており、抗酸化作用や発汗作用で体の火照りを冷ましたり、血液循環を良くして冷えを予防したり、消化液の分泌を促して胃腸を元気にする働きなどが期待できます。
 食欲のない夏でもご飯が進むカレーライスは、家族の健康を気遣うおふくろの愛情が、なによりのスパイスになっているのかもしれません。
(2018年7月号掲載)

コロッケ

 ホクホクした食感とほんのりとした甘みが口いっぱいに広がるコロッケは、秋を迎える頃に食べたくなるおふくろの味です。じゃがいもの主成分の糖質は、ひき肉に豊富なビタミンB1と一緒にとることで素早くエネルギーに変わるため、疲労回復効果がありスタミナ源となります。さらに、玉ねぎの辛み成分の硫化アリルはビタミンB1の吸収を促す働きもあるので、夏の疲れが出やすい秋の初めにお勧めの組み合わせです。
 じゃがいもに豊富なビタミンCには免疫力を高める働きがあることから、免疫抗体を作るひき肉の主成分であるタンパク質と一緒にとることで、風邪の予防に役立ちます。通常は熱に弱いビタミンCですが、じゃがいものビタミンCは加熱に強いのも嬉しいところ。コロッケの甘みの正体は、玉ねぎです。玉ねぎに含まれるオリゴ糖は、善玉菌の餌となり、腸内環境を整えます。じゃがいもの食物繊維と一緒にとれば、相乗効果も期待できます。果肉が黄色や紫色のじゃがいもを使えば、色素成分に抗酸化作用があることから、生活習慣病の予防や老化予防の効果も期待できます。
 素早くエネルギーに変わる糖質には、体を温める効果もあります。日ごとに涼しさが増すこの時期に揚げたてのコロッケを頬ばれば、健康を気遣うおふくろの味が、体も心も温めてくれることでしょう。
(2018年9月号掲載)

サバの味噌煮

 寒さが増す季節の定番おかずといえば、サバの味噌煮。秋から冬にかけて脂がのるマサバを味噌煮にすると、身もふっくらとして美味です。
 サバに豊富なエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸には、中性脂肪を低下させたり、血栓を予防して血液をサラサラにする働きがあるため、生活習慣病予防におすすめです。また、ドコサヘキサエン酸には脳の神経細胞を活性化する働きがあることから、認知症の予防効果も期待されています。脂がのったマサバですが、脂質の代謝を促すビタミンB2も含まれているので、皮膚に潤いを与えたり粘膜を丈夫に保つ効果があるといわれています。また、免疫バランスを整えるビタミンDも豊富で、風邪やインフルエンザが流行し始めるこの時期には、特に積極的に摂りたいものです。ビタミンDにはカルシウムの吸収や利用をよくする働きもありますので、カルシウムが豊富なほうれん草のおひたしなどを副菜にとり入れるのもよいでしょう。煮込んだ味噌を口に頬張れば食欲も増し、ご飯も進みます。お米に豊富な糖質は素早くエネルギーに変わるため、冷えた体を温める働きも期待できます。白髪ねぎを添えれば、辛み成分のアリシンが血行を促してくれます。
 味噌の香りが漂う食卓は、心も体も温まります。本格的な冬の到来に備えて健康な体づくりを願う、おふくろの想いが感じられる一品です。
(2018年11月号掲載)

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