イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

見逃さないで!病気のサイン(3)

クリンネス編集室

昼間なのに眠くなる

 授業中や仕事中に居眠りをして、怒られた経験はありませんか。居眠りで怒られなくても、眠くて困ったことはおありでしょう。昼間でも眠くなる原因で最も多いのは、夜間の睡眠不足です。適切な睡眠時間には個人差があると考えられますが、夜間の睡眠時間が不足すれば、当然に昼間は眠くなります。ただし、夜間に眠れない原因によっては治療が必要な場合があります。勉強や仕事のために夜間の睡眠時間が少なくなっているときは、日課を見直したり、短時間の午睡(ごすい)※ を活用することで睡眠時間を確保する工夫が必要です。またカフェインなどを過剰に摂取すると、夜間に眠れなくなるので注意が必要です。
 睡眠時間は確保できているのに夜に眠れず、昼間に眠くなるときは治療が必要な睡眠障害を考えなければなりません。神経症やうつ病の初期のこともありますので、神経科や精神科などを受診しましょう。
 睡眠時間はとれているのに昼間も眠いという場合には、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸障害のために、良質の睡眠がとれず日中に眠くなることがあります。また、知覚神経や運動神経系の異常などで睡眠中に体が動き、眠りが浅くなって昼間に眠くなることもありますし、発作的に睡眠状態に入ったり脱力発作が起こる場合には、ナルコレプシーという病気も考えられます。専門医に相談しましょう。
(2015年1月号掲載)

※ 昼寝すること

口臭が気になる

 ニンニク料理などを食べたわけでもないのに、口臭が気になることがあります。自分では気になっても、実際にはそれほど強い口臭はないことが多いのですが、家族や友人からも指摘されるような場合には注意が必要です。なかには、大きな病気が潜んでいる場合があるからです。
 ネギ、ニンニクなど臭いの強い食品を摂取した後の口臭以外で多いのは、飲酒後の口臭です。飲酒後も長時間口臭が残ったり、飲酒していないのに二日酔いのような口臭がするときは肝臓の機能が低下している恐れがあります。糖尿病が悪化している場合も、特有の口臭が感じられます。また、胃の病気では、摂取した食べ物がうまく消化されず胃に停滞して口臭が発生し、胃炎、胃潰瘍、胃がんなどが見つかる場合もあります。また、蓄膿症や鼻炎などでも口臭は起こります。
 シェーグレン症候群※ などの膠原(こうげん)病では、唾液の分泌が低下して口腔内が乾燥し口臭が起こりやすくなることがありますし、高齢者でも、唾液の分泌が悪くなることで口臭が発生しやすくなります。虫歯や歯周病などの口腔疾患や歯垢や歯石の沈着も、口臭の原因になります。喫煙はそれ自体が口臭の原因にもなりますし、口の中の衛生状態を悪くします。歯と口の健康は、全身の健康とも関係します。ひどい口臭が続く場合には、一度お医者さんや歯医者さんに相談しましょう。
(2015年2月号掲載)

※ 自己免疫疾患といわれる一群の病気

爪がもろくなった

 爪を切るときなど、爪が割れやすくなり、もろいと感じることがあります。冬などの乾燥した季節では体内の水分が不足しがちで、皮膚や爪の潤いが失われ爪が割れやすくなることがありますが、なかには大きな病気がかくれていることがあるので注意が必要です。
 皮膚や爪をはじめ、人間の身体は主にタンパク質でできています。栄養不足などによりタンパク質が不足した状態になると、爪はもろくなります。また貧血、特に鉄分が不足した状態でも爪はもろくなります。これら低タンパクや鉄欠乏の状態は、偏食などによる栄養摂取の不足により起こりがちですが、なかには胃や腸の病気などで栄養素を十分に吸収できない場合、あるいは消化管出血などでタンパク質や鉄分が失われて栄養不良になっている場合があります。
 また糖尿病やその予備軍の方では、血液中の糖分が高い状態が続き、タンパク質の利用がスムーズに行えないために、結果として皮膚や爪に異常が起こりがちです。肝臓に異常がある場合にも、タンパク質の利用が停滞して爪がもろくなることがあります。
 肉や魚などタンパク質を含む食品を積極的に摂取し、鉄分の補給に心がけても爪がもろく割れやすい状態が続くようでしたら、一度は受診して検査を受けたほうがよいでしょう。
(2015年3月号掲載)

人の名前が思い出せない

 歳をとると、人の名前が思い出せないということがよくあります。
 テレビをみていて、よく知っているはずの有名な俳優さんの名前が出てこない、同窓会で顔は覚えているのにクラスメートの名前が出てこない、仕事先で商談相手の名前を度忘れして冷や汗をかいたなどは、経験のある方も多いでしょう。もっとも、人によっては若い頃から人の名前を覚えるのが苦手という人もいます。人間の記憶力は徐々に衰えていきますので、人の名前が思い出せない、あるいは覚えられないというのも、それだけであれば生理的な加齢現象と考えられます。
 ただ単に名前が出てこないだけではなく、その人に会ったことがあるのは確実なのに会った記憶が欠落している、といった場合は要注意です。さらに、今日が何曜日かわからなくなったり、自分がいまどこにいるのかがわからなくなるような症状が加わる場合には認知症の初期段階のこともあるので、受診して医師に相談するのがよいでしょう。
 また、人の名前のような物忘れだけではなく、怒りっぽくなったり、暴力的になったりといった人格的な変化が伴う場合には、早急な受診をおすすめします。「物忘れ外来」を開設している医療機関もありますし、市区町村にも「地域包括支援センター」など、認知症の相談窓口があります。
(2015年4月号掲載)

湿疹ができやすい

 皮膚に炎症や発疹が起こっている状態を皮膚炎、または湿疹といいます。湿疹には、いろいろなタイプがあります。漆(うるし)などに触ってかぶれた状態を接触性皮膚炎(接触皮膚炎)といいますし、あせも(汗疹)も接触性皮膚炎の一種です。アレルギー反応によるアレルギー性(接触)皮膚炎や、身体の内部要因とダニなどの外部要因が複合して起こるアトピー性皮膚炎なども有名です。
 アレルギー体質でもなく、アトピー性皮膚炎だと診断されたこともないのに最近よく湿疹ができる、ということもあります。生活環境が変わったり、いろいろな物質と長期間接触しているうちに体質が変わってきたことが原因となって、アトピー性皮膚炎が発症する場合もあります。
 また、全身的な疾患が影響して、皮膚の異常が起こりやすくなっていることもあります。たとえば糖尿病では、身体の免疫能力が低下するために感染に弱くなり、感染性の皮膚疾患を起こしやすくなります。肝臓や腎臓の異常でも免疫が低下して皮膚の感染に弱くなるほか、全身が痒くなったりします。また肝臓の機能が低下するといろいろな物質の分解がうまくいかず、食物性蕁麻疹(じんましん)が起こりやすくなるともいわれます。
 最近皮膚の異常が起こりやすくなったという場合には、一度皮膚科を受診して相談されるとよいでしょう。
(2015年5月号掲載)

ぶつけた痣(あざ)が治りにくい

 転んだり固いものにぶつかったとき、怪我をしなくても痣ができることがあります。はじめは青い色をしていることが多いので、青痣と呼んだりもします。この青痣は皮下出血が原因で生じます。身体が激しい衝撃を受けたときに、皮膚の表面に傷ができなくても皮膚の下にある血管が破れて内出血を起こし、血液が皮下に広がり皮膚を通して青紫色に見えるものです。通常は、血液が固まってから徐々に身体の組織に吸収されていきます。その際に青紫色から黄色く変化していって、最終的に元の皮膚の色に戻ります。
 皮下出血の範囲や量によっても異なりますが、通常は1、2週間で出血が吸収されて治っていきます。しかし、なかには痣が治りにくい、あるいは治っても、すぐまた出来る、といった場合があります。体質にもよるのですが、加齢などで血管が脆もろくなっていたりすると、皮下出血の量が多くなって、治るのに時間がかかるようになってきます。
 特発性血小板減少性紫斑(しはん)病などで血液中の血小板数が減少したり、また白血病などでは血液が固まりにくくなっても内出血を起こしやすくなりますし、出血部位からの再出血もあったりと、結果として痣が出来やすくなったり、治りにくくなったりします。ぶつけた記憶もないのに痣が出来やすくなり、治るのに時間がかかるときは一度受診しましょう。
(2015年6月号掲載)

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