Kanbunken 環境文化創造研究所

COLUMN

- コラム

弊所発行の「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。

薬と仲良く、元気な毎日

公益社団法人 日本薬剤師会 副会長(執筆当時) 生出泉太郎

薬を飲むタイミング

 私たちが飲んだ薬は、一般的に胃で溶けてから小腸で吸収され、肝臓へと運ばれます。そして、血液の流れに乗って全身に送られ、目的の場所で効果を発揮します。その後、時間が経つと再び肝臓で分解されて、腎臓から尿として体外に排泄されます。
 したがって薬を飲むときには、吸収されるように胃までしっかりと流し込むこと、薬が吸収されるよう成分を溶かすためにコップ1杯程度の水と一緒に飲むことが大切です。
 飲み薬は体内の目的の場所で最も効果が発揮されるように、飲む時間や飲み方、1回量などが工夫されています。
・食前(食事前の30分くらい前)
 ―食前は胃が空っぽの状態なので、直接胃粘膜に接して効果を出す胃腸薬などは、このタイミングで飲むと最も効果を発揮します。
・食後(食後30分くらいまで)
 ―胃に障害を起こしやすい鎮痛薬や感冒薬などは、食後に飲むとあまり負担をかけずにすみます。
・食間(食後2、3時間)
 ―食事と食事の間のことで、食事の最中ではありません。食べ物の消化が終了して胃の中が空っぽの状態なのは食前と同じですが、次の食事まで1時間くらい空いているところが違います。漢方薬の多くなどは、食間に飲むと最も効果を発揮します。
(2015年3月号掲載)

薬とサプリメントの飲み合わせ

 薬と薬、薬と飲みものや食べものとの組み合わせによっては、薬の効果が弱まったり強まったり、副作用が強く出たりすることがあります。病院から薬をもらっている方が市販薬を利用する場合、あらかじめ医師や薬剤師に相談してください。また、購入するときに商品の説明書を読むか、薬剤師に確認してください。
 市販薬同士の飲み合わせにも、気をつける必要があります。特に総合かぜ薬は解熱鎮痛薬と鼻炎薬、せき止め薬を合わせた薬ですので、もし総合かぜ薬とせき止め薬を併用する場合には、成分が重複してしまいます。このため、かぜ薬の服用後5~6時間以上は間隔を空けなければなりません。
 サプリメントと薬は、組み合わせによっては思わぬ副作用が出たり、薬の効果が十分に得られなくなることがあります。たとえば、不眠症や更年期症状に悩む人向けの「セントジョーンズワート」は、抗精神病薬をはじめ、さまざまな薬の効果を弱めるおそれがあります。「ワーファリン」(血液をサラサラにする薬)とビタミンKが多く含まれる青汁やクロレラを同時にとると、ワーファリンの効果を弱めるおそれがあります。薬に添付されている説明書には、一緒に飲んではいけない薬などについて記載されていますので、忘れずに確認しましょう。
(2015年5月号掲載)

なぜ必要?「お薬手帳」

 「お薬手帳」とは、薬の名前や飲む量、アレルギーなどの記録をつける手帳です。薬は、どんなに安全性に配慮しても副作用が出ることもあれば相互作用が出ることもあります。また、病気や体質によっては使用してはいけない薬も存在します。こうしたことから、お薬手帳に使用した薬の名前や、薬による体調の変化や副作用、既往歴(きおうれき)、体質の特徴などを記入しておき、その情報を医療関係者と患者さんご自身が確認することで、より安全な医療を行うことができるのです。
 2011年の東日本大震災では、薬剤師が、避難所などへ避難されている慢性疾患の被災者の方々から被災前に使用されていた薬を聞き取り、お薬手帳を作り、そこに薬剤名などを記載する取り組みを行いました。医療チームの医師は、このお薬手帳によって診察が容易になり、多くの患者さんを効率的に診療することができました。
 薬剤師は患者さんのお薬手帳を見て、ほかの医療機関や薬局での調剤の記録、またご自身が使用された一般用医薬品や健康食品の記録などを確認することで、飲み合わせや薬の使用に問題がないかなどを判断しています。
 このような理由から、お薬手帳は複数冊持たずに1冊にまとめましょう。そして医療機関にかかる時には、必ず持って行きましょう。
(2015年7月号掲載)

子どもや妊婦、高齢者の服用

 15歳までの子どもは成長段階にあり、薬を分解する機能を持つ肝臓や腎臓の働きが十分ではありません。ですから、たとえ子どもが大人と同じ体格に見えたとしても、大人と同じ量の薬を飲むと薬を分解できず強過ぎてしまうのです。さらに、大人用の薬には子どもに使用してはいけない成分が含まれている場合があり、子どもに飲ませると思わぬ副作用を引き起こす危険も伴います。小児の用法・用量が記載されていないものは、子どもが使ってはいけない医薬品です。
 また、高齢者も生理機能が低下して内蔵、特に肝臓と腎臓の機能の低下により薬の代謝分解が遅くなるため、薬の作用が強く現れるおそれがあります。さらに、慢性の病気や複数の病気を抱えて、多くの種類の薬や、市販薬・サプリメントを使用している人も増えてきますので、重複や飲み合わせなどに気をつけなければいけません。
 このほか、妊娠中の薬は、胎児への影響も考えられるので使用には注意を払いましょう。授乳中も、服用した薬の成分はわずかでも母乳に影響がおよぶ可能性があります。服用については、かかりつけの医師や薬剤師などに相談しましょう。
 9月25日は、薬剤師の職能に対する意識向上を図るために制定された「世界薬剤師デー」です。
(2015年9月号掲載)

こんな薬も、夢ではない

 薬は、すべての人に対してまったく同じ効果を発揮できるわけではありません。人によっては薬が効き過ぎたり、逆に効きにくかったり、副作用が他の人より強かったりすることもあります。お酒に強い人と弱い人がいるように、薬が効く人とそうではない人がいます。その原因のひとつとして、薬を分解する力は遺伝子で決まっていて、人によって違いがあることがわかってきました。
 人の体は約60兆個の細胞からできており、その細胞1つひとつが遺伝情報を持っています。すべての人がほぼ同様の情報を持っているものの、細部が異なり、これが個人の体質を決定していると考えられています。したがって、遺伝子を調べることで体の特性を知ることが可能であり、その人に合った薬で治療や予防を行うことができるのです。将来的には、1人ひとりの遺伝子を分析して、その情報からそれぞれの人に合わせた薬を設計することができるようになるのではないかといわれています。
 このように、人それぞれの体の特性に合わせた治療を「テーラーメイド医療」といいます。遺伝子診断が普及していくことで、その人にとって効きやすい薬を選んだり、副作用を防ぐことができるようになるのです。より安全に、かつ効果的に薬を服用する時代が、もうそこまで来ています。
(2015年11月号掲載)

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