Kanbunken 環境文化創造研究所

COLUMN

- コラム

弊所発行の「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

片づけられる子どもに育てる(1)

整理収納アドバイザー一級認定講師 長野ゆか

やる気スイッチ

 子どもに片づけをやる気にさせる方法はたくさんありますが、どの年齢にも共通するのは「片づけは面倒くさくて嫌なもの」ではなく、片づけることによってどれだけメリットがあるのかを、子ども自身が具体的に知ることが大切だということです。たとえば、探し物の時間がなければ遊ぶ時間がもっと増える、なくさなければ二度買いしなくてもよい、片づいていれば親に叱られないなど、「時間的・経済的・精神的メリット」は大人も子どもも共通です。さらに、床に散乱している物を踏んだり、つまずくことによる怪我、小さな弟や妹の誤飲など、「片づいていることは家族を守ること」と知ると、やる気が起こる子もいます。
 こうしたことから、片づけは思いやりと表現することもできます。「優しい子なら、だれでもできる。今まで教えてもらったことがないから、できなくて当然。大人でもできない人もいる」ということを知るだけで、「難しいことじゃない、自分もできようになる」と思えてやる気につながる子もいます。そのためには片づけのメリットに子ども自身が気づくよう、必要な場面で繰り返し声をかけることが大切です。毎日、「小さな自分でもできた」を積み重ねること。子どものやる気を起こすのは、保護者のアプローチ次第なのです。いつも片づけてあげるのではなく、”片づけ力“を身につけさせることは、一生の力になります。
(2018年1月号掲載)

「命を守る」お片づけ

 子どもに”片づけ力“が必要な理由はたくさんありますが、その中でも私が特に大事だと思い、子どもたちに話をするのが「家族を守る、命を守るお片づけ」についてです。
 床にものが散乱しているために、家族がケガをするかもしれません。躓(つまづ)いてお祖母ちゃんが転び、寝たきりになってしまった事例もあります。また、散らかっていると、小さな弟や妹の誤飲の原因にもなります。
 地震のときに、ものが整然と片づいている部屋と、今にも本棚やタンスの上からものが崩れてきそうな部屋と、どちらが安全かは、子どもの目から見ても明らかです。上に置いたものが落ちてこないか、逃げるための動線がもので埋もれてしまっていないか。掃除がしにくいために、ハウスダストによる咳が増えて病気になることもあります。そんな話をすると、多くの子どもが真剣に聞いてくれます。
 ある子どもは、私から幼稚園でこの話を聞いた後、お母さんがいつものように片づけていたら、「命を守るお片づけをしてくれているの?いつもありがとう」と言い、苦手で嫌いだった片づけに取り組みはじめ、今でも整理整頓されたキッズスペースをキープしてくれているそうです。片づけは気持ちがすっきりするだけではなく、命を守るという大きな役割があることを、お子さんに教えてあげてください。
(2018年3月号掲載)

「もったいない」の本当の意味

 片づけられない原因の中には、「捨てられない」があります。そこで大切なのは、「もったいない」の意味を正しく理解し、子どもたちに伝えることです。
 子どもがものを捨てようとしたときに、「もったいない」としか声をかけなければ、その子どもは、捨てられない大人に育ちます。やがてものをため込み、ストレスを感じるようになるでしょう。しかし、「もったいない」は「物体ない」と表現することもでき、ものが本来使われるべき形で使われていない、体をなしていないことをいいます。遊ばないおもちゃを置きっぱなしにして忘れることや、大事だからと押し入れに抱え込んで持っているものこそが、本当にもったいないのです。
 捨てるときについ「もったいない」と言ってしまうのは、まだ使える状態なのに処分するからです。ものの寿命が尽きる最後まで使ったもの、たとえば、使い切った消しゴムを捨てるときに「もったいない」とは言いません。最後まで使うことが、ものを大切にすることの始まりであり、もったいないことをしないことだと伝えていかなければなりません。そこから、ものへの感謝の気持ちが生まれれば、不要にものを持たない、安易に購入しないという選択につながります。これはもちろん、子どもたちだけではなく私たち大人も、振り返るべきことです。
(2018年5月号掲載)

「作品管理」は子どもの役割

 お子さんが保育園や学校で作り、持って帰ってきた作品をどう整理したらよいかという相談をよくうけます。お勧めなのは、持って帰ってきたら、「すぐに本人と一緒に」作品を写真に撮ること。作品だけを撮ってもなかなか見返す機会はありませんが、本人が写っていれば「年少・年中・年長の鯉のぼりの作品」など、見返したときに成長を感じることもできるでしょう。写真に撮ったら即処分、というご家庭もあります。
 次に、家の中で作品を置いておくスペースを定めて、確保すること。1箱1スペースでも構いません。仮にこの1箱に1年分を置いておくと決めたら、翌年の1年分の作品がきた段階で、箱ごと入れ替えます。このとき、以前の作品たちは一通り写真に撮ってあるので、安心して手放すことができます。ここまでは保護者の方の役割です。
 もう1つは、作品を置いておく数を定めておく方法です。リビングには3つ飾るなら、4つ目を持ち帰ったときに1つを処分します。常にお気に入りの3つを、お子さんに選んでもらいましょう。この作業を通じて、優先順位をつける力や、判断力・決断力を育てる練習ができます。このとき「これを処分するの?」、「こっちを置いておこうよ」などと言わないこと。親はサポートに徹するのが役割で、決めるのは子ども自身です。決断に口出しをして、やる気をそがないように注意しましょう。
(2018年7月号掲載)

「片づけ力」は親の教え方しだい

 最近は、「子どもの片づけ力を伸ばす教え方」を学ぶ保護者の方が増え、片づけを得意とする子どもも増えています。一方で、片づけが得意な保護者の方でも教え方を知らないと、子どもの片づけ力を伸ばすのは難しいようです。
 たとえば、片づけが得意な保護者の方は、お子さんに「これを立てて、ここを重ねて、こう置けばすぐできるじゃない」と伝えるのですが、これは経験値からくる感覚であり、同じものが同じように散らかっている場合にしか、子どもは再現できません。この場合「引き出しは開けたら、中身が一目瞭然になるのがメリット。だから立てて収納する」というように、原則を踏まえ、方法を具体的に教えることが必要です。
 また、「どうしてこれくらいできないの?」という厳しい言葉も聞かれます。以前、ある小学生の女の子に「私はどうせ何もできない。片づけもできないし」と言われたことがあります。「当たり前のことすら、できない子」とされているのだろうと、胸が苦しくなりました。このような声がけでは、苦手意識を植えつけてしまい逆効果です。保護者の方は、「教わったことがなければ、できなくて当然」であることを受け入れるところからスタートしてください。そして、まずはご自分が「教え方・接し方」を学び、実践していきましょう。
(2018年9月号掲載)

「誰のものか」を明確に

 よくあるご相談に、「兄弟のせいにして、おもちゃを片づけない」というものがあります。「これはお兄ちゃんのおもちゃだから」、「これは弟のほうがたくさん遊んだから」と、相手に片づけを押しつけ合う状況です。子どもにすれば、面倒な上に、どうして(相手のものなのに、遊んでもいないのに)片づけなければいけないのかという不満があるのです。
 解決策の第1歩としては、「どのおもちゃが、どちらのものなのか」を明確にすることです。1つひとつを、本人たちに確認します。名前を書いてもよいでしょう。そして子どもごとに、分けて収納をしてください。もし、ひとつのボックスに「おもちゃ」と全部がまとまって置いてあるのなら、「このボックスはお兄ちゃんのおもちゃ」、「このボックスは弟のおもちゃ」と、持ち主ごとに分類した収納に変えましょう。
 こうしておくと、相手のものを理不尽に片づけさせられていた行動は、明らかに「お手伝い」に変わります。また、「貸して」、「使い終わったら僕のボックスに戻してね」など、「相手のものを使わせてもらっている」ことになるため、譲り合いや貸すときの話し合い、お礼のコミュニケーションなども生まれます。誰のものなのかが明確になれば、最終的な責任がどちらにあるのかということも明確になるため、ただただ押しつけ合うという状況を減らしていくきっかけになります。
(2018年11月号掲載)

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