Kanbunken 環境文化創造研究所

COLUMN

- コラム

弊所発行の「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

冷凍食品の豆知識

一般財団法人 環境文化創造研究所 顧問 小西良子

表示の欄の「加熱調理の必要性」を 見ていますか?

 最近の冷凍食品には、自然解凍してそのまま食べられるという商品が増えてきました。お弁当作りには、そのまま詰められるのでとても便利です。
 冷凍食品の規格基準には、(1)無加熱摂取冷凍食品、(2)加熱後摂取冷凍食品(凍結直前加熱)、(3)加熱後摂取冷凍食品(凍結直前未加熱)、(4)生食用冷凍鮮魚介類、(5)切り身またはむき身の冷凍鮮魚介類の5つのジャンルがあり、成分規格は、(1)、(2)は一般細菌数10万以下/g、大腸菌群陰性、(3)は一般細菌数300万以下/gでE.coli陰性となっています。
 このうち(1)が自然解凍(調理)食品です。自然解凍でそのまま食べられる根拠としては、HACCPなどの高度な衛生管理手法で製造されていること、日本冷凍食品協会が定めた実施要領に基づき「35℃で9時間」の条件で保存試験を実施することなどがあります。この規格をクリアしていないものや(3)は、加熱しないと安全性は保証されません。(2)は殺菌のための加熱はしてありますが、喫食時には加熱調理が必要です。
 自然解凍で食べられる商品はパッケージに大きくアピールされていますが、加熱が必要なものはパッケージ裏の「加熱調理の必要性」の欄にひっそりと、「食前に加熱してください」と書いてあるだけのことが多いようです。この表示を見過ごさず、冷凍食品を賢く使いましょう。
(2020年8月号掲載)

冷凍食品にもカビが生える?

 通常の家庭用冷凍庫はマイナス16℃~マイナス20℃に保たれているため、細菌やカビは生えないと思っている方が多いと思います。しかし食品苦情事例では、冷凍食品にカビが生えていたというケースが比較的多く報告されています。苦情事例でよくみられるクラドスポリウムというカビは一般的な家庭に多く存在する種類のもので、このカビはカビ毒を出しません。では、なぜ冷凍食品にカビが生えてしまうのでしょう。
 ひとつ目は、冷凍食品の取扱い方に原因があります。たとえば、食品を使おうと思って一旦室温に戻したあと、使わずに再凍結した場合、空気中に漂っているカビの胞子が付着して、食品と一緒に冷凍庫の中にカビを持ち込んでしまうことになります。
 ふたつ目は、特に夏場はアイスクリームや氷など冷凍庫に入れる食品の量が多くなり、扉の開け閉めが頻繁になることです。そのような状態ですと、適正な温度を保つことが難しくなり、瞬間的に0℃より高くなることがあるかもしれません。そうなると、すでに入り込んでいたカビが、包装の破れなどで食品がむき出しになっているところで増えてしまうのです。
 カビをはじめとする微生物は、冷凍しても死なないことを改めて肝に銘じながら、正しく冷凍し、食することが重要です。
(2020年11月号掲載)

冷凍食品と冷凍流通品

 冷凍食品には厳密な規格基準があり、表示に凍結前加熱の有無や加熱調理の必要性の有無について記載するのですが、冷凍(凍結)流通品は流通のために冷凍されたものを指し、特別な基準がなく表示の義務もありません。しかし、冷凍(凍結)流通品の中には冷凍食品の基準であるマイナス15℃以下※1 またはマイナス18℃以下※2 で保存することが表示されている品もあり、消費者が冷凍食品と混同しやすくなっています。
 たとえば冷凍メンチカツなどのそうざい半製品は衣がつき、多くは包装されて売られていますが、冷凍流通品に分類されます。では、加熱後摂取冷凍食品(凍結直前未加熱)との見分け方はなんでしょう。それは表示に「冷凍食品」と書いてあるかないかです。商品名だけの場合は、冷凍(凍結)流通品です。特にそうざい半製品の場合は、冷凍食品のような食品衛生法での細菌数に対する成分規格がありません。そのため、加熱が不十分だと食中毒を起こす可能性があります。
 加熱後摂取冷凍食品(凍結直前未加熱)でも冷凍(凍結)流通品でも、利用する場合には商品パッケージに記載の「調理方法」などをよく確認することが重要です。特にメンチカツなど内部が生の製品は、「表面の揚げ色や焼き色で火の通り具合を判断せず、中心部の肉の色で確認」することが最も重要となります。
(2021年2月号掲載)

※1 食品衛生法
※2 一般社団法人 日本冷凍食品協会

「E. coli 」と「大腸菌」は何が違う?

 今回は冷凍食品の規格に関わる大腸菌群、E.coli とは何を指すのか、また日本の食品衛生法で定められている「E.coli」と「大腸菌」の違いについてご紹介します。食品衛生法では、食品中の汚染の有無を調べるための衛生指標菌として、大腸菌群およびE.coli が用いられています。大腸菌群はグラム陰性の無芽胞桿(かん)菌で、48時間以内に乳糖を分解して酸とガスを産生する好気性または通性嫌気性菌と定義されており、「大腸菌」以外も含まれ、腸内細菌由来ではなくても検出されます。
 一方、E.coli は本来、「Escherichia coli (大腸菌の学名)」の略なのですが、日本の食品衛生法では「糞便系大腸菌群」のことを指し、細菌分類学上の「大腸菌」ではありません。そのため、イタリック体ではなくローマン体にして区別していると考えられます。大腸菌群のうちEC培地を用いた発酵管で、44.5±0.2℃の恒温水槽中で24±2時間培養し、ガス発生が認められればE.coli と判定されます。さらに、E.coli 検査で陽性になった菌に対してIMViC試験※ を行い、大腸菌かどうか判定します。
 食品衛生法のE.coli は、大腸菌や海外の規格基準等に用いられているE.coli とは似て非なる日本独特の分類です。一刻も早い国際的に整合性のとれた試験法の整備が望まれます。

※ IMViCのIはインドール産生能、Mはメチルレッド反応、ViはVP反応、Cはクエン酸塩利用能のこと

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