イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

1か月で1キロ痩せるダイエット

管理栄養士 篠原絵里佳

まずは、ダイエットの基本から

 新しい年を迎え、ダイエットを今年の目標に掲げている方もいらっしゃるのではないでしょうか。巷にはさまざまなダイエット法が溢れていますが、無理なくリバウンドせずに痩せるためには、運動も取り入れることが大切です。太ってしまう最大の原因は、消費カロリーより摂取カロリーの方が大きいことです。消費できなかったカロリーは、やがて脂肪へと変わります。食べる量と消費する量が等しければ太りもせず痩せもせず、適切な体重を維持できます。
 また、リバウンドしないためにも、時間をかけて取り組むことが大切です。体重にもよりますが、1か月で約1kgの減量が理想的でしょう。1kgの脂肪を減らすためには、約7000キロカロリーの消費が必要です。つまり、1か月で1kg痩せるためには1日約240キロカロリー減らせば良いことになります。食事と運動でそれぞれ120キロカロリー減らすことは、それほど難しいことではありません。
 120キロカロリーは、食事では茶碗に約半分のご飯や、250mlの缶コーヒー1缶分に相当します。運動では、体重80kgの人なら約30分の歩行に相当します。駅では階段を使って、一駅前で降りて歩く、遠回りをして帰るなど、少しずつ日常生活の中で活動量を増やし、食事と運動の組み合わせで太りにくい体づくりを目指しましょう。
(2014年1月号掲載)

食べる時間とダイエットの関係

 ダイエットをする際に大切なことは、摂取エネルギーを考慮することはもちろんですが、「いつ、何を食べるのか」に配慮することも大切です。朝食は朝日を浴びた2時間以内に、主食・主菜・副菜を揃えて食べましょう。私たちの体に存在する体内時計でダイエットに関わっているものは、日周リズム(サーカディアンリズム)です。1日約24時間(20~28時間)で刻まれているこのリズムは、起床後に朝日を浴びることでリセットされます。朝食を食べることで内臓が働き始め、1日のエネルギー代謝が活発になるため、朝食抜きは太りやすくなります。
 (1)夕食は夜9時までに、すませましょう。
 脂肪の合成を促進するタンパク質「BMAL1※ 」の発現量は、昼は少なく夜に多くなる特徴があり、夜10時から朝2時がピークになりますので、遅くとも夜9時までに夕食をすませましょう。夜9時を過ぎてしまう場合には、夕方におにぎりなどを軽く食べて夕食は主食を減らすというように、夕食を2回に分けて食べるようにします。午後3時頃はBMAL1が最も少なくなるので、おやつの時間は午後3時がおすすめです。
 (2)1日の食事を、朝3・昼3・夕4の割合で摂りましょう。
 「1日3食、規則正しく」が基本です。1日の食事量の目安にしてください。
(2014年3月号掲載)

※ ビーマルワン:脂肪細胞を作る酵素を増やす機能とともに、体内時計をコントロールする機能を持つタンパク質

食べ方を工夫するダイエット

 「痩せの大食い」とは、たくさん食べているのに痩せていたり、痩せている人の方が意外にも大食であることをいいます。ダイエットを考えるときは、真っ先にエネルギーを減らすことを思いつきますが、実はエネルギー量よりも、「何を、どのように食べるのか」ということが大切です。
 厚生労働省が実施している国民健康栄養調査を見ると、戦後の日本人の摂取エネルギー量は、現代の日本人より多いことがわかっています。しかしながら、現代の日本人のほうが肥満や生活習慣病の人は多くいますので、理由はエネルギー量の多さだけではないことが見てとれます。
 そこで問題となってくるのが、バランスの乱れです。主食中心だった戦後から、おかず(主菜)中心の食生活へと変化し、主食となる穀類(炭水化物)の割合が減り、脂質の割合が増加しているのです。しっかり食べても太りにくい「痩せの大食い」の人は、おそらくこれらをバランス良く食べているのでしょう。
 食べても太りにくい食事のために、以下の3点を毎食必ず揃えましょう。(1)主食(ご飯、パン、麺)、(2)主菜(魚、肉、卵、大豆製品)、(3)野菜中心のおかず(手のひらに乗る大きさの小鉢を毎食2皿ぐらい)。このように食べることで栄養素は体の中で上手に利用され、代謝の良い体が生まれ、太りにくくなるのです。
(2014年5月号掲載)

もっと野菜を!

 健康的なダイエットをサポートしてくれる食材に、野菜があります。
 ダイエットにおける野菜のメリットの1つめは、食べ過ぎを予防してくれる点です。野菜はかさがあるために満腹感を得られやすい食材なのです。また咀嚼回数も増えますので、満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを予防します。大きく切ると、さらに咀嚼回数が増します。
 2つめのメリットは、血糖値の急上昇を抑えて緩やかにする点です。血糖値が急上昇する食事は、脂肪細胞に糖が取り込まれてしまうために太りやすくなります。野菜に豊富な食物繊維は、血糖値の急上昇を抑えてくれます。このメリットを活かすために、食事の際には野菜から食べ始めましょう。3つめのメリットは、便秘を予防し、腸内環境を整えてくれる点です。食物繊維が腸を刺激して便通を整えたり、善玉菌を増やしてくれます。便秘はダイエットの妨げになりますので、便秘予防を心がけましょう。4つめのメリットは、代謝を高めるビタミンやミネラルが豊富な点です。エネルギー源となる炭水化物や脂質を、利用しやすくするようにサポートしてくれます。
 野菜の1日の目標量は、350グラム。けれど現代の日本人が実際に食べている量は、平均すると目標量に達していません。毎食、野菜中心の小皿を2皿食べることを目標にしましょう。
(2014年7月号掲載)

糖や油と上手に付き合う

 ダイエットをするとき、安易に糖や油を減らすことにこだわってしまうことがあります。なぜなら、これらを減らすとエネルギー(カロリー)を減らすことができる、つまり痩せられると考えてしまうからです。
 しかし糖や油を極端に減らすことは、リバウンドを引き起こし、結果的には痩せにくい体質になってしまいます。ダイエットは、エネルギーを減らすことよりもバランスが大切です。食べた物をしっかり利用できる体、つまり代謝の良い体づくりを目指しましょう。糖や油は生きていくために欠くことのできない栄養素ですから、これらの代謝を促す栄養素も同時にしっかり摂ることが重要です。
 糖や油の代謝を促してくれる栄養素はビタミンB群で、なかでも糖の代謝に関わるのはビタミンB1です。玄米や雑穀、胚芽米などの精製度の低い穀類、大豆や豆類、豚肉などに豊富です。モロヘイヤなどの緑色野菜にも比較的多く含まれるので、食事にはたっぷり野菜を添えましょう。油の代謝を助ける栄養素は、主にビタミンB2で、うなぎやカツオ、サバなどの青魚、乳製品、納豆などに豊富です。ビタミンB2は糖の代謝も促すので積極的に摂り入れたい栄養素です。おやつには牛乳やヨーグルトもお勧めですが、もちろん食べ過ぎは禁物です。よく噛んでゆっくり食べて、腹八分目を心がけましょう。
(2014年9月号掲載)

一番の近道

 痩せるためには「食べる」ことが大切です。皆さんは、「基礎代謝」をご存知ですか。基礎代謝とは、横たわっているだけで消費されるエネルギーのこと、つまり心臓を動かしたり呼吸したりと生命維持のために使われるエネルギーです。1日の消費エネルギーの約7割が基礎代謝に使われています。この基礎代謝量よりも食事量の方が少なければ、体は危機感を覚えて基礎代謝をどんどん低下させ、少ないエネルギーでも生きていける”消費しにくい体“にしていきます。食べていないのに痩せない人によく見受けられる症状です。大切なことは、主食・主菜・副菜を揃えて、バランスよく「食べる」ことです。
 基礎代謝は20歳前後をピークに、40歳頃から急激に低下します。食事量は変わらないのに太ったという方は、基礎代謝の低下が考えられます。40歳を過ぎると、基礎代謝は1日約50キロカロリー低下します。基礎代謝の低下と上手に付き合うためには、運動して筋肉をつけることや、50キロカロリー分の摂取エネルギーを抑えることです。間食や甘い飲み物を飲んでいる方は1~2口減らす程度ですし、ご飯でも、毎食1口分の量です。そしてなにより、規則正しくバランスのとれた食事を続けることが、リバウンドしないダイエットの「一番の近道」になるのです。
(2014年11月号掲載)

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