イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

見逃さないで!病気のサイン(1)

クリンネス編集室

おなかが張る

 ご飯を食べ過ぎると、お腹が張って苦しいことがあります。すぐに消化されて苦しさがなくなるようなら心配はないのですが、そんなにたくさん食べてもいないのにお腹が張ったり、あるいは食事と関係なくお腹が張ったりする場合には、大きな病気が隠れていることがあります。
 腹痛や便秘を伴う場合は、胃腸の働きが弱って消化不良を起こしているのかもしれません。特に強い腹痛があるときは、腸閉塞(へいそく)を起こしている場合もあります。
 食事とは関係なくお腹が膨れてきて痛いという場合、女性では卵巣囊腫(のうしゅ)など婦人科系の異常も考えられます。また、生理のときにお腹が張るように感じることもあります。実際にはお腹は膨れておらず、生理中やその前後だけに症状があるときはあまり心配ないでしょう。
 いつもお腹が張っていて全身倦怠感が強い、食欲がない、吐き気がするといった症状があれば、肝硬変や慢性膵炎(すいえん)や肝臓、胆のう、すい臓の疾患が疑われます。下腹部が張って尿が出ない、出にくいといった症状があれば、前立腺の異常などによる尿閉(にょうへい)の場合もあります。
 もちろん、食べ過ぎでお腹が張っているだけならば心配ないといっていつも食べ過ぎていると肥満が進行し、糖尿病や動脈硬化の危険が高まります。腹八分目を心がけるのが、健康の第一歩です。
(2014年1月号掲載)

頭が痛い

 風邪気味で頭が痛むのは、よくあることです。また慢性の頭痛に悩まされている方も多いと思います。しかし頭痛の中には、急いで治療しなければならないものもあります。
 まず、「突然の頭痛」です。「頭が痛くなった時間は○時○分から」とか「何かをしているときに」のように、発症の時間を記憶している頭痛はクモ膜下出血である場合があります。「悪化していく頭痛」も要注意です。頻度や程度が数時間のうちに増していくような頭痛は、脳出血などが考えられます。「経験したことのないひどい頭痛」は、脳出血など重篤な病気のサインのこともあります。普段の頭痛と違うと思ったら、専門医を受診しましょう。
 これらの3つの症状に該当しない場合は緊急の受診は必要ない場合が多いのですが、数週間から数か月単位でだんだんとひどくなるような頭痛では、慢性硬膜下血腫や脳腫瘍などが疑われます。
 頭痛が、一酸化中毒の症状であることもあります。冬、締め切った部屋でストーブなどを使っている場合は注意してください。その他、緑内障や副鼻腔炎など目や鼻の病気でも頭痛が続くことがあります。
 頭痛はいろいろな原因で起こります。長く続く頭痛や、市販薬ではよくならない場合は、一度専門医を受診してみましょう。
(2014年2月号掲載)

肩がこる

 「肩がこる」といっても、こり方は人によってさまざまです。一般に肩や、肩周辺の首や背中の筋肉が疲労や炎症を起こして、痛みやこわばった感じをもつ場合を肩こりといいます。肩こりの多くは、筋肉を揉みほぐしたり、薬によって炎症を抑えることで症状が改善しますが、単なる肩こりと思っていても、大きな病気の前触れのこともあります。
 肩が痛む、特に左肩から痛み出して、痛みが肩から胸や背中に広がっていくような場合は、心筋梗塞を疑わなければなりません。心筋梗塞は、通常胸部が強く痛むのですが、高齢者などでは、胸の痛みが目立たず肩こりかなと思っているうちに大きな発作を起こす場合があります。おかしいと思ったらすぐに受診しましょう。
 頑固な肩こりが持続し、マッサージや痛み止めではあまり症状がよくならない場合は、頚椎(けいつい)のヘルニアや脊柱の内部が狭くなったり、腫瘍ができて神経を圧迫していることがあります。整形外科や神経内科に相談してみましょう。
 その他にも、緑内障や眼精疲労、あるいは眼鏡があっていないようなときなど、眼の異常が原因で肩こりや頭痛がひどくなる場合もあります。普段の肩こりと違うなと思ったら、まずは医療機関を受診してください。
(2014年3月号掲載)

身体がむくむ

 朝起きたときに瞼(まぶた)が腫れぼったい感じがしたり、足が重い感じがして皮膚を指で押すと後が残ってなかなか戻らなかったりする、けれど痛みはない、というような症状を「むくみ」または浮腫(ふしゅ)といいます。
 むくみは身体の中の細胞組織に水分がたまっている状態で、さまざまな原因で起こります。寝る前に水分を過剰に摂取した場合などは、就寝中に尿の生成が抑制される傾向にあるため、身体に貯留される水分が余剰となり結果としてむくみが生じます。健康な人であれば、起床後に余分な水分が排出されてむくみは解消されます。また、長い立ち仕事などでは下肢(かし)の血流が滞り、足がむくむこともあります。
 心臓が悪いと全身の血液循環に異常が起こり、組織に水分が貯留して全身にむくみが生じます。血管やリンパ管に異常があって血液が心臓に戻りにくくなった場合にも、組織に水分が溜まってむくみの原因となります。
 また腎臓や肝臓の病気では、血液中のたんぱく質などのバランスが崩れ、やはり組織に水分がたまって、むくみます。甲状腺機能低下症では、水分の貯留とは違う種類の浮腫が起こることもあります。
 むくみが続くときや、ひどいむくみが生じたときなどは大きな病気の兆候の場合もあるので、一度受診して検査を受ける必要があります。
(2014年4月号掲載)

足がつる

 夜中、寝ているときに足がつって目が覚めることがあります。また、水泳やランニングなどの運動中や運動後などにも足のつることがあります。「こむらがえり」ともいいます。足のつる原因についてはよくわかっていないことが多いものの、激しい運動をしたときや、長く歩いて足の筋肉が疲労しているとき、あるいは栄養不良のときなどに起こりやすいと考えられています。たまに足がつるぐらいであれば、筋肉に疲労を蓄積しないように注意して、偏食を避けて栄養のバランスを整えるようにすれば問題はありません。しかし、頻繁に足がつるような場合は、神経や筋肉の異常が隠れていることもあります。
 発熱が続くような身体を消耗する病気では、脱水や身体の中の電解質バランスが崩れて、足だけではなく他の筋肉もつるようなことがあります。腎臓病や甲状腺の機能が低下しているときにも電解質の異常が起こって、足などの骨格筋がよくつったりします。また、足の静脈瘤(りゅう)がひどいために神経炎を起こしている場合や、多発性神経炎、筋萎縮症などでも足がつるような症状が頻発します。
 過剰な運動や極端な偏食・ダイエットによる栄養不良など、特に思い当たるような原因がないにもかかわらず、頻繁に足がつるような場合には、一度受診して医師に相談してみましょう。
(2014年5月号掲載)

手足が冷える

 うっとうしい梅雨ですが、明ければいよいよ夏本番。暑い季節を迎えます。しかし暑いにもかかわらず、この時期に手足の冷えを訴える方がいます。「夏なのに冷え性?」と意外に思われるかもしれませんが、気温が高くても、体の中心部と比較して手足の先など末梢部分の体温が低い場合には冷えを感じることもあります。エアコンの普及で室内の温度が低い場合、特に足元に冷気が溜まることも影響を与えています。
 手足の冷えを感じる原因の多くは、自律神経の乱れなどで体温調節がうまくいかない状態、いわゆる冷え性によるものですが、たかが冷え性と馬鹿にしていると、大きな病気が隠れていることもあります。
 中年男性に多い閉塞性動脈硬化症は、下肢の動脈によく起こるので足が冷たくなります。男性の喫煙者に多いバージャー病では、血管に炎症が起こり血流が滞って足の先などが冷たく感じられます。若年の女性に多いレイノー病では、末梢の血管が痙攣を起こして血流が悪くなり、手や足の指先が冷たくなります。SLE※などの膠原病(こうげんびょう)でも末梢の循環不全を起こして冷えを感じることもあり、甲状腺機能低下症や低血圧症でも手足の血管の循環が悪くなります。
 冷え性は冬に多いのですが、夏場でも強い冷えを感じ、対策を講じても改善しない場合には、一度医療機関を受診してみるとよいでしょう。
(2014年6月号掲載)

※ 全身性エリテマトーデス

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