Kanbunken 環境文化創造研究所

COLUMN

- コラム

弊所発行の「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

おふくろの味の底ぢから(2)

管理栄養士・野菜ソムリエ 篠原絵里佳

紅白なます

 おせち料理でもお馴染みの紅白なます。紅白のおめでたい色は水引を表し、その組み合わせは平和を願う縁起物として、おせち料理に欠かせないものです。冬が旬の大根と人参で作る紅白なますは、お正月に限らず冬の食卓を飾るおふくろの味でもあります。
 生の大根にはさまざまな消化酵素が含まれているため、消化を助けて胃もたれや胸やけを防ぐ働きがあります。辛味成分には抗菌作用があり、疲れた胃腸を助けたり、風邪の予防にも役立ちます。人参に豊富なカロテンにも風邪を予防する効果が期待されており、鼻や喉などの粘膜を丈夫に保つ働きがあります。肌に潤いを与える効果もありますので、乾燥肌の方にもおすすめです。また、大根のビタミンCや人参のカロテンには活性酸素を除去する抗酸化作用もあることから、生活習慣病や老化予防の効果も期待できます。味の決め手となる酢にも、嬉しい効果があるといわれています。胃酸の分泌を促す作用には、食欲増進や消化を助ける働きがあるのです。また、食事の最初になますをいただけば、野菜の食物繊維と酢の働きが血糖値の上昇を緩やかにして、肥満や糖尿病を予防する効果も期待できるでしょう。甘酸っぱいなますをいただくと、お正月のごちそうで疲れた胃腸を思いやり、寒い冬を元気に乗り切ってほしいと願うおふくろの想いが伝わってきます。
(2017年1月号掲載)

若竹煮

 春の味覚の代表格、たけのこ。たけのこの生長は早いため、食べられる時期がほんの一瞬です。糠(ぬか)と鷹の爪を加えた水で時間をかけて茹でられたたけのこは、風味もよく、特有の甘みと風味が口に広がります。たけのこが旬を迎える頃、ワカメも旬を迎えます。「春先の出会いもの」と言われるたけのことワカメを出汁(だし)で炊いた若竹煮は、春先の体を気遣うおふくろの想いを感じる一品です。
 たけのこもワカメも、食感が特徴的な食材ですが、この食感は食物繊維が豊富である証。たけのこには不溶性食物繊維が多いため、歯ごたえがよく、便秘や大腸がんの予防に役立ちます。ワカメのトロリとした食感は水溶性食物繊維で、血糖値やコレステロール、血圧の上昇を抑える働きがあるとされています。どちらも、冬場に蓄積された有害物質の排泄に役立ちます。カリウムも豊富に含まれ、血圧の低下作用やむくみ予防にも効果的です。また、たけのこには、グルタミン酸、アスパラギン酸、チロシンという、うま味成分のアミノ酸が含まれており、これらには疲労回復効果が期待できますので、季節の変わり目の忙しい春先に最適です。どちらも低カロリーというのも嬉しいところです。出汁の香りと、旬のたけのこの香りは、たけのこのようにすくすくと育ち、竹のように長生きしてほしいと願うおふくろの想いが心にしみる春の味覚です。
(2017年3月号掲載)

アジの南蛮漬け

 アジが旬を迎える5月。新年度からの生活も落ち着き、季節の変わり目とも相まって疲れが出やすいこの季節には、アジの南蛮漬けが食卓にのぼります。揚げ物の香ばしさと、ほどよい酸味に食欲もそそられます。
 旬を迎えるアジには、脂がのっています。アジの脂にはイコサペンタエン酸やドコサペンタエン酸という脂肪酸が豊富に含まれており、中性脂肪を低下させる働きや、血栓予防効果があるといわれています。脳の神経細胞を活性化することから、認知症予防効果も期待されています。脂がのっていますが、油脂の代謝を促すビタミンB2も豊富なためにエネルギー代謝が高まり、疲労回復にも良いといわれます。酢にも疲労回復や食欲増進効果が期待できますので、疲れが出やすいこの時期にはおすすめです。ビタミンB2には、肌の生まれ変わりを助けて肌に潤いを与えてくれる効果もありますので、肌荒れを起こしやすいこの季節には嬉しい作用です。ほかにも、新にんじんや新玉ねぎ、いんげんなどの春野菜をたっぷりと加えれば、初夏の強い紫外線による活性酸素を除去する抗酸化成分も摂ることができます。食物繊維も豊富ですから、腸内環境も整います。疲れが出やすいこの時期だからこそ、食欲増進効果のある酢を使って作る南蛮漬けで、しっかりとスタミナをつけてほしいと願うおふくろの想いを感じる初夏の味です。
(2017年5月号掲載)

鰻のかば焼き

 「鰻を食べると、スタミナがつくのよ」と言いながら、土用(どよう)の丑(うし)の日には決まって鰻を食卓に並べる母の姿を夏になると思い出します。鰻の旬は冬ですが、夏に鰻が売れないことから、平賀源内が土用の丑の日を発案したといわれています。旬ではないものの、鰻には夏バテを予防する栄養成分が豊富です。
 スタミナをつけるために摂りたい成分といえば炭水化物。ご飯や麺、パンなどに豊富に含まれ、エネルギーの源になる栄養素です。炭水化物がエネルギーに変わることでスタミナがつくのですが、鰻には炭水化物をエネルギーに変える働きのあるビタミンB1が豊富に含まれます。粘膜を丈夫にして免疫力を高めるビタミンAも豊富なため、夏風邪の予防にも一役買ってくれます。紫外線により発生する活性酸素は生活習慣病や老化の一因となりますが、ビタミンAにはこの活性酸素を除去する抗酸化作用もあります。血液をサラサラにするエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸、カルシウムも豊富に含まれるなど、夏場の健康維持に欠かせない栄養成分が豊富なのです。
 鰻のかば焼きのタレは甘じょっぱく、食欲のないときでも箸が進みます。暑さに負けないようにと家族の健康を願いながら、猛暑の日にも台所に立つおふくろの想いが感じられる夏の一品です。
(2017年7月号掲載)

茶碗蒸し

 出汁(だし)の旨味と風味に、ほっと癒される茶碗蒸し。出来たて熱々の茶碗蒸しは、朝晩の涼しさが増す初秋にいただくと、心も体も温まります。卵は栄養価が高く、豊富なタンパク質とエネルギー代謝を促すビタミンB2や鉄の働きで、夏の疲れが出やすい9月の健康維持に役立ちます。
 茶碗蒸しの具材に使われる銀杏やしいたけは、秋の味覚の代表格。糖質が主成分の銀杏には、糖質の代謝を促すビタミンB1も豊富なことから、疲労回復効果が期待できます。ただし、銀杏は一度にたくさん食べると食中毒のような症状を招くことがあるともいわれますので、適度にいただき、銀杏特有の食感を楽しみましょう。
 しいたけや銀杏には、腸内環境を整える食物繊維がたっぷりと含まれている点も嬉しいところです。しいたけや鶏肉、エビなどの具材は、さまざまな種類の旨味を楽しむことができます。しいたけのグアニル酸、エビのグルタミン酸、鶏肉のイノシン酸などの旨味成分を一緒に摂ることで、相乗効果でさらに味わいが増します。
 柚子の皮をあしらえば、出汁の香りと相まって心が落ち着きます。かつお節の出汁には、満腹感を高めたり心を穏やかにする作用があり、柚子の香り成分のリモネンには、リラックス効果があるからです。夏に疲れた心と体を癒す茶碗蒸しは、おふくろの愛情を感じる一品です。
(2017年9月号掲載)

きんぴらごぼう

 秋から冬にかけては、根菜類が美味しくなる季節です。11月に旬を迎えるごぼうは香り高く、にんじんは甘みが増します。ほんのり甘くてシャキッとした食感のきんぴらごぼうは、おふくろの味の定番です。
 香り高い旬のごぼうは、あく抜きをせずに使うのがおすすめです。歯ごたえのある食感は、食物繊維が豊富な証。便秘や大腸がんの予防効果が期待されている不溶性食物繊維と、余分なコレステロールの排泄や血糖値の上昇を抑える水溶性食物繊維のどちらも豊富に含んでいることが特長です。善玉菌の餌となるオリゴ糖を含むため、相乗効果で腸内環境が整います。にんじんは抗酸化作用のあるカロテンが豊富。カロテンは体内でビタミンAに変わり、鼻や喉の粘膜を強化して、免疫力を高めてくれます。油と一緒に炒めることで、吸収率が高まるのも嬉しいところです。旬のにんじんは甘みが増しているため、砂糖は控えめにしましょう。仕上げにゴマを振りかければ、風味も加わって薄味でも美味しくいただけます。
 ごぼうやにんじんなどの根菜類は糖質も豊富に含まれており、身体を温める効果が期待できます。ごぼうやにんじんの甘みと、しょうゆの香ばしい香りで食欲も増します。寒い冬を元気に過ごしてほしいと願うおふくろの想いを感じる一品です。
(2017年11月号掲載)

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