イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

効果的な体の使い方

『1日1分で身体が整う首のセルフケア』著者/整体師 能瀬千恵

「足の親指」使えていますか(1)

 私たちの体は、うまく使いこなせていないためにさまざまな不調を起こしてしまうことがあります。まずは、体のトラブルの原因として多い「足の親指」についてお話ししていきましょう。
 足の親指を「本当に」効果的に使えたらどんなトラブル解決に役立つかご存じですか。代表的なのは(1)冷え、(2)ふくらはぎの硬さ、(3)巻き爪の3つです。ここでのポイントは、「足の指」ではなく「足の親指」を使うということです。足の指の話になると「5本指ソックス履いてます!」「指が広がればいいんですよね!」というお声をよく耳にします。大きく間違ってはいませんが、5本指ソックスを履いても、指が広がっても、(1)~(3)に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。その悩みがなくならないのは、多くの方が「5本指ソックスを履いて満足」「足の指を広げて満足」で終わっているからです。大切なのは、指を広げることではなく、使えるかどうかということです。
 さて、ご自身の両足を観察してみてください。足の小指が横を向いていたり、爪が小さくなっていたり、赤っぽく腫れているように見える方はいませんか。当てはまった方の足は親指が仕事をしておらず、親指を効果的に使えていない可能性が大です。
(2025年1月号掲載)

「足の親指」使えていますか(2)

 引き続き、「足の親指」のお話です。かつて日本の人は足の親指がしっかりと使える人ばかりでした。草鞋(わらじ)や草履(ぞうり)を履き、足の指が地面と仲良しでした。
 さて、皆さまの足の親指は、毎日「地面についている」でしょうか。意識してみるとわかると思いますが、靴を履いた時、靴の中で親指が浮いていないでしょうか。試しに、足でグー・チョキ・パーをしてみましょう。「まず親指」から動いている方は、第1段階クリアです。ほかの指のほうが先に動いて、親指の動き出しが遅い、親指の第一関節が曲がらないなどの状態になっていたら、いますぐ対応しましょう。将来的に「歩行」に支障が出る可能性があります。
 そこで、今日から取り入れていただきたいのが、「足の親指だけを使って、タオルを手繰(たぐ)る」運動です。「足の指でタオルを手繰る」は、足の指を使うためによく勧められる運動ですが、多くの方が意味のない動きをしています。足の親指だけで、タオルを手繰るようにしてください。ほかの指は使いません。どうしても小指側を使いたくなると思いますが、「親指だけ」です。何度か繰り返すうちに足の指や足の裏がいつもよりぽかぽかしてくるのがわかります。おめでとうございます。これが「足の指を使う」という感覚の第一歩です。
(2025年3月号掲載)

体をゆっくり動かすということ

 今回は、「体をゆっくり動かすということ」についてお話しします。
 たとえばですが、「腕を大きく回す」という運動をいつも通りにやってみてください。腕をぐるんぐるんと大きく回します。この時点で肩が痛むようなら、痛くない範囲で回してみてください。次に同じ動きを、先ほどの5分の1くらいの速さでゆっくりやってみましょう。今までそんなにゆっくり動かしたことがないというくらいにゆっくり動かします。どんな感覚ですか。
 速い動きをしているときと、ゆっくりとした動きにしたときとで、使っている筋肉が違うことが感じられたらお見事です。逆に、あまり感じられなければ、自分への興味関心が薄い、体にとっては気の毒な状態になっています。
 筋肉の詳細な図を見たことがある人は少ないかもしれませんが、速く大きく動かすような場合には、体の表面に近い大きな筋肉が動きます。反対に、ゆっくり動かすときは、骨に近いところにある小さな筋肉たちが活躍します。普段の生活では、この「小さな筋肉」を動かすことがほとんどなく、これが四十肩や腰痛などの原因になることが多いのです。
 ゆっくり動かすということは、丁寧に動かすということ。自分の体を、丁寧に扱ってあげましょう。
(2025年5月号掲載)

ぎっくり腰は「突然」にはならない

 仕事柄、ぎっくり腰の相談をよく受けます。たいてい「突然きちゃって」、「やっちゃって」という言葉が添えられるわけですが、残念!ぎっくり腰はもはや「生活習慣病」の領域のもの。突然ではなく、日々の「動き方」の積み重ねで起こります。
 ぎっくり腰になりやすい方には、(1)足音がうるさい、ドタドタまたはペタペタ歩く、(2)歩くときに空が見えていない、(3)姿勢をよくしようと背筋を伸ばしている、というような特徴があります。(2)と(3)は矛盾するようですが、(2)はスマホを見るときのように、自然と目線が下を向いてしまう姿勢のこと。頭の位置がその場所にあるのに(3)の意識をすると、一気に腰に負担がかかります。むやみに背筋を伸ばすことで、体に負担をかけるということを知らない方が多いです。
 そして(1)は、「踵(かかと)から着地する」という大きな勘違いをした歩き方が原因でもあります。踵からの衝撃は腰に溜まっていきます。(1)(2)(3)の積み重ねの結果、ぎっくり腰になりやすくなるのです。反対に、(1)(2)(3)を攻略すれば、ぎっくり腰にならない体を簡単につくることができます(攻略法はまた別の機会に)。
 「繰り返す」「クセになる」「突然に」は、体に目を向けられていない言い訳にすぎません。
(2025年7月号掲載)

呼吸が浅いのは、腹式呼吸のせい?

 今回は「呼吸」のお話です。
 「息が浅い」、「うまく深呼吸ができない」、「胸が苦しい」……そんな悩みを抱えている方はいませんか。呼吸は、生きている限り休むことなく繰り返され、大人では1日におよそ2万回も呼吸しているといわれています。それだけに、「間違った呼吸」をしていると、知らず知らずのうちに体へ負担をかけてしまうことになります。
 近年は「腹式呼吸」がもてはやされる傾向にありますが、正しく理解しないまま、お腹だけをペコペコ動かしているような状態では逆効果。本来、呼吸で大きく動くのは「肺」であり、その動きを助けるために「肋骨」や「肋間筋」がしっかり動く必要があります。この肋骨や肋間筋が硬くなると、肺を広げるスペースが確保できず、どんなに深呼吸しようとしても苦しさを感じてしまいます。そうとは知らずに、形だけの腹式呼吸を続けるのは要注意です。
 まずは「バンザイ」をして、大きく息を吸ってみてください。いつもより多く空気が入る感覚はありませんか。肋骨周りがしっかり動いているのを感じるかもしれません。
 「世の中の情報」より、「自分の本来の体」を知るチャンネルを、もっと増やしていきたいものです。
(2025年9月号掲載)

膝はついてくる場所

 今回は「膝」のお話です。
 「もっと膝を使いましょう」「膝に負担をかけないように太ももを鍛えてください」……そんなアドバイスを聞いたことがある人も多いかと思います。けれど、この言葉に違和感を覚えることがあります。なぜなら、膝は「使う」場所ではなく、「ついてくる」場所だからです。また、太ももを鍛えようとすることで、かえって膝を痛めることがあります。
 本来、股関節や足首がスムーズに動いていれば、膝はその流れの中で自然に動いてくれるもの。膝を意識すればするほど、むしろ不調の原因になることもあるのです。
 たとえば歩くとき。膝を使って足を上げていませんか。多くの人が、この「大間違い」をしています。股関節を折りたたむように意識するだけで、足は上がります。そして、膝は無理なく、安全な位置で動いてくれます。
 体は、中心から動かすことで外側が整う——膝はその「流れ」の中で、やさしく働く存在。「使う」から「ついてくる」へ。その感覚を育てていくことで、体全体の調和がより深まっていきます。間違いに気づけたとき、体との対話が始まります。その小さな気づきが、深くて静かな変化の扉になるのです。
(2025年11月号掲載)

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