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COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

二十四節気のすこやか食ごよみ(1)

中医食療薬膳師二級 中山静江

1月の二十四節気「小寒(しょうかん)」と「大寒(だいかん)」

 1月(5日頃)に訪れる二十四節気※ は「小寒」です。寒さが厳しくなり始める頃で、小寒から節分までを「寒」といい、「小寒」に入る日を「寒の入り」といいます。その次は、1年のうちで寒さがもっとも厳しくなる頃という意味の「大寒(20日頃)」へと続きます。小寒から大寒までのおよそ30日間は「寒」、「寒中」、「寒の内」と呼ばれ、暦の上でも寒さがいっそう増していく様子がうかがえます。
 寒さがもっとも厳しくなる1月は身体を冷やさないことが最重要。冷えると血流が悪くなり、凝りや痛み、免疫力の低下を引き起こし、さらには老化を促進させます。冷たい空気は三首(首・手首・足首)から入りやすいので、衣類などでしっかり防寒対策をしましょう。この時期の食べ方のポイントは、身体を温める食材と潤いを補う食材に加えて、黒い食材(黒豆・黒ごま・黒きくらげ・海藻類など)を取り入れること。漢方では黒い食材には寒さで弱った生命力を補い、老化を防ぐ力があると考えられています。漢方発祥の地である中国には「冬になったら冬の食べもので元気を補おう」という言葉があるそうです。冬に旬を迎える食材にも、寒さを乗り越えるパワーがあるのですね。
 年末から年始にかけての美味しいもの三昧の毎日で、胃腸が疲弊気味です。疲れた胃腸を労ることも意識しましょう!
(2025年1月号掲載)

※ 二十四節気は太陽の動きに合わせて1年を24等分した暦のことで、季節の移り変わりを知る目安となる。
  太陽の動きによるので、毎年日付は固定されていない

春の始まり「立春」と「雨水」

 二十四節気とは、太陽の動きに合わせて1年を24等分した暦のことで、季節の移り変わりを知る目安となります。太陽の動きによるので毎年日付は固定されていません。春夏秋冬の四季がさらに6つに分けられ、それぞれに季節を表す美しい名前がついています。
 二十四節気は「立春」からスタートします。立春は「春が立つ」と書くように春の始まりとされ、次の「雨水(うすい)」へつながっていきます。ちなみに雨水とは、「雪が雨へと変わり、降り積もった雪や氷もとけて水になる頃」という意味です。
 実際にはまだ寒い時期ですが、梅の花が咲き、窓から差し込む日の光に暖かさを感じるようになっていきます。春の初めの過ごし方のポイントは「太陽の光をたっぷり浴びる」こと。暖かな日の光を取り込み、寒さで縮んでしまった身体と心を解きほぐしていきましょう。
 そして、この時期は「苦み」のある旬の食材を摂るのがポイントです。薬膳では、苦い味には老廃物や余分な水分を身体の外に出す働きがあるとされています。春の訪れを告げる山菜類や菜の花など旬の「ほろ苦さ」で冬の間にため込んだ脂肪や老廃物を身体から追い出しましょう。
 季節の流れを意識して過ごすことは身体と心の健康につながります。二十四節気から暮らしの知恵を取り入れてみませんか?
(2024年2月号掲載)

3月の二十四節気「啓蟄(けいちつ)」と「春分」

 3月(5日頃)に訪れる二十四節気は啓蟄です。「木々が芽吹き、土中で冬籠りをしていた虫たちが、冬眠から目覚めて姿を現す頃」という意味で、”啓“は「開く」、”蟄“は「虫が隠れている様子」を表しています。その次は、昼と夜の長さがほぼ同じになる春分(20日頃)へと続きます。春分は国民の祝日「春分の日」となっていて、この日を挟み前後3日をあわせた7日間を彼岸といいます。日ごとに春めき気温が上がってくると、私たち人間も自然界の影響を受けて、寒さから身を守るために休んでいた細胞が活発に動き始めます。また春は卒業や進学、転勤や配置転換など環境の変化も大きい季節です。新しいステージに向けてワクワクする気持ちと、ソワソワした不安な気持ちが入り混じります。これを漢方では、環境の変化や寒暖差がストレスとなり、自律神経のバランスが乱れて情緒が不安定になりやすいためと考えます。
 自律神経が乱れやすい春は、香り豊かな食材を採り入れましょう。たとえば青野菜の三つ葉・せり・セロリ、旬のいちごや柑橘類、スパイスなどもお勧めです。これらに含まれる香り成分には「気血」の巡りを促して、ストレスによるイライラや不安、肩こりなどの改善が期待できます。心と体は密接につながっています。ストレスが多い春は体を締め付けるような下着や衣類は避けて、心も体も伸びやかに過ごしましょう。
(2025年3月号掲載)

4月の二十四節気「清明」と「穀雨」

 毎年4月5日前後は二十四節気でいう「清明(せいめい)」です。「清浄明瞭」を略した言葉で、すべてのものが清らかでイキイキしているさまを表しています。そして、清明のあとに続く「穀雨(4月20日前後)」は雨が地面を潤し、百穀を育てる頃という意味です。自然界では春の雨が大地を潤し、植物が芽ぶき動物たちも冬ごもりから目覚め活動を始めるなど、生命力に溢れた季節です。
 漢方では、「春一番」に始まるこの時季に吹く風が、春に起こりやすい不調の原因と考えられています。鼻水や目の充血、のぼせやほてり、吹き出ものなど、身体の上半身に表れやすいという特徴があります。春の行楽シーズンには、マスクやストールなどで身体に風が入り込まないよう対策をして出かけましょう。
 また、4月は季節だけでなく入学や入社、引っ越しなど生活環境にも変化があるシーズンです。張り切っていたのに、急にやる気が出なくなる、ソワソワ、イライラして憂鬱になりやすいなど心の不調も表れやすくなります。そのようなときには、三つ葉やセロリ、春菊といった春に旬を迎える香りの強い青菜や柑橘類を摂るのがお勧めです。香りが気の巡りを促し、気持ちを晴れやかにします。
 春の新芽のように、心も身体も伸びやかに五感で春を楽しみましょう。
(2024年4月号掲載)

夏の始まり「立夏(りっか)」と「小満(しょうまん)」

 5月(5日前後)に訪れる二十四節気は「立夏」です。夏の気配が立ち上がる頃という意味で、暦の上ではここから夏が始まります。そして、万物の成長するエネルギーが次第に強くなり、天地に満ち始めるという意味の「小満(21日前後)」へと続きます。秋に蒔いた麦などに穂がつく頃で、順調な生育の様子に「少しほっとする・一安心する」ということからこの呼び名がついたそうです。
 立夏の頃はちょうどゴールデンウィークの時期と重なり、お出かけするにも気持ちが良い季節ですね。ところが「倦怠感・不眠・やる気がでない」など、五月病といわれる心身の不調を感じる人が増えるのもこの頃です。これは漢方では、春の環境の変化に合わせて多くの活動エネルギーと血を消耗し、自律神経のバランスが崩れるためと考えられています。五月病対策の食べ方のポイントとして、エネルギーと血を補い体の隅々まで巡らせることを意識しましょう。鰹(かつお)や鰺(あじ)、緑色が美しいアスパラガスやそら豆はエネルギーと血を補い疲労回復に効果的です。ストレス対策には香りの強い緑色の野菜、ピーマンやセロリ、香味野菜なども併せて取り入れると良いでしょう。たとえば、たっぷりの香味野菜を使った鰺の南蛮漬けなどはいかがでしょうか。毎日の食事と十分な休息で乱れやすい自律神経のバランスを整えて、五月病を予防しましょう!
(2025年5月号掲載)

6月の二十四節気「芒種」と「夏至」

 6月5日前後に訪れる二十四節気は「芒種(ぼうしゅ)」です。
 芒種とは、稲や麦など穂の出る穀物の種を蒔く頃という意味で、芒種の芒は「のぎ」と読み、イネ科の植物の穂先にある針状の突起を指しています。昔からこの時期は田植えや麦の刈り入れを行う目安とされてきました。芒種の次は、昼の長さが1年で最も長い「夏至(6月21日前後)」へ続き、暦の上では夏の3番目と4番目の節気となります。
 芒種の頃になると全国的に梅雨入りし、湿度が高くムシムシとした気候になっていきます。蒸し暑く雨が続くこの時期は、なんとなく体が重だるく感じたり、疲れやすくなったり、頭痛や食欲不振など、梅雨空と同じように気分や体調もスッキリとしない症状が現れます。漢方では、これらの不調は、余分な湿気が体内に溜まることで胃腸の働きが低下し、水分代謝が悪くなることで起こると考えられています。梅雨の季節にこれらの不調を感じやすい人は、いつもの食事に水分代謝を促す豆類やトウモロコシ、はとむぎなどの穀類を取り入れてカラダの内側から湿気を追い出しましょう。ご飯と一緒に炊き込むのも簡単でお勧めです。
 また湿気は心の中にも少しずつ溜まります。心のモヤモヤを感じたら、軽くストレッチをする、のんびり湯船に浸かる、雨上がりには散歩に出かける、など適度な汗で心の湿気をカラッとさせましょう。
(2024年6月号掲載)

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