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COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

二十四節気のすこやか食ごよみ(2)

中医食療薬膳師二級 中山静江

7月の二十四節気「小暑(しょうしょ)」と「大暑(たいしょ)」

 7月(7日頃)に訪れる二十四節気※ は「小暑」です。梅雨が明け本格的な暑さが始まる頃という意味で、その次は、大きく暑いと書くように1年の中でもっとも暑さが厳しくなる頃という意味の「大暑(22日頃)」へと続きます。「小暑」と「大暑」を合わせた約1か月間は「暑中」と呼ばれ、暑さを気遣う暑中見舞いを出すのもこの時期です。
 梅雨が明けると、いよいよ夏本番を迎えます。体がまだ暑さに慣れていないうちから連日の猛暑が続くため、大量の汗をかくようになります。この時期は熱中症対策のために、こまめな水分補給が欠かせません。
 漢方では、大量の汗をかくことは同時にエネルギーも多く消耗すると考えます。汗をたくさんかいたときには、水分と同様、エネルギーもしっかりと補給しましょう。
 夏のエネルギー補給には、豚肉やタコがお勧めです。疲労回復や夏バテ予防はもちろんですが、漢方では体に潤いを与える作用があると考えられています。また、この時期に旬を迎える夏野菜には、熱のこもった体をクールダウンする作用や水分代謝を調整する作用など、さまざまな効能を持つものが多くあります。暑いからといって冷たい飲食物ばかりを摂りすぎると胃腸が冷えて夏バテを招きます。毎日の食事に夏野菜の力を取り入れて、体の内側から涼やかに過ごしましょう。
(2025年7月号掲載)

※ 二十四節気は太陽の動きに合わせて1年を24等分した暦のことで、季節の移り変わりを知る目安となる。
  太陽の動きによるので、毎年日付は固定されていない

秋の始まり「立秋」と「処暑(しょしょ)」

 8月(8日前後)に訪れる二十四節気は「立秋」です。「秋が立つ」と書くように、暦の上では秋の始まりとされています。実際には夏真っ盛りで、1年の中でもっとも暑い時期にあたります。そして、徐々に暑さが落ち着いてくる頃という意味の「処暑(23日前後)」へと続きます。この頃になると日中の暑さは残っているものの、朝夕は少しずつ過ごしやすくなり、秋の気配を感じられるようになっていきます。
 ここ数年、温暖化が進んだ影響で、体温を超えるような暑さも珍しくなくなってきました。元々、私たちの体は暑さで体温が高くなりすぎないようにセンサーがついていて、体温が高くなると汗をかいてクールダウンさせる仕組みが備わっています。汗をたくさんかくことは、体の水分が失われていく状態なので、不足が続くと、のどや口が渇く、便が硬くなる、尿の色が濃く量も少なくなる、寝付きが悪いなど小さなサインが出てきます。また、汗と一緒にエネルギーも体の外へ出てしまうので、体が重い、疲れがとれない、食欲不振など、夏バテの症状も表れます。漢方では、トマト、キュウリ、ナス、ゴーヤ、スイカなどの暑い時期に旬を迎える野菜や果物の多くには、体の内側から熱を冷まし、水分代謝を助ける働きがあると考えられています。秋の初めの養生は、旬の食材で潤いと栄養を補給して、夏の疲れをいやしましょう。
(2024年8月号掲載)

9月の二十四節気「白露(はくろ)」と「秋分」

 9月(7日前後)に訪れる二十四節気は「白露」です。白露とは、朝の光にキラキラと美しく輝く朝露の様子を表し、本格的な秋の訪れを感じる頃になります。そして、昼と夜の長さが同じになる「秋分(23日頃)」へと続きます。秋分の日を境に夜よりも昼が短くなり、秋の夜長へと向かいます。寝苦しかった夏の夜からようやく解放されますね。
 9月の自然界は、生長から収穫へと切り替わる時期です。夏の間に青々と茂っていた植物が枯れ始め、木々の葉も色づき舞い落ちていきます。私たちも、夏の間に外へ向いていた気持ちを内へと切り替えて、厳しかった残暑の疲れをしっかりと癒すことが大切です。なぜなら、この時期の過ごし方が冬の健康に影響するからです。
 秋の初めの養生は、疲れた胃腸のケアから始めましょう。これには秋が旬の芋類がお勧めです。芋類は体を冷やしたり温めたりする作用がないため、どんな体質の人にも取り入れやすい食材で、胃腸ケアはもちろん、疲労回復やむくみ改善などの効果も期待できます。併せて、夏に汗とともに失われた潤いを補給することも忘れずに。漢方では、大根や蕪(かぶ)、蓮根、白ごま、梨などの「白い食材」が体に潤いを与えるといわれています。涼しい風を感じたら、夏に疲れた心身を癒し、心と体にたっぷりと潤いを補ってあげましょう。
(2025年9月号掲載)

10月の二十四節気「寒露(かんろ)」と「霜降(そうこう)」

 10月(8日前後)に訪れる二十四節気は「寒露」です。
 「寒露」とは秋が深まり、朝の草花につく冷たい露のことを指しています。五穀が実りを迎え、山では木々が色づく準備を始める頃です。
 「寒露」の次は、草が枯れ霜も降り始める「霜降」(10月23日頃)へと続きます。この頃になると朝晩の冷え込みが厳しくなり、露が霜に変化し、空気もひんやりと感じるようになります。夏に疲れていた体もこの時期には回復し、実りの秋を迎えて、人間も動物も冬に負けない体を作るために食欲が増してきます。ここで、気をつけたいのは食欲に任せて食べ過ぎないこと。夏の疲れからようやく癒えたばかりの胃腸に負担をかけないように、よく噛み、腹八分目を心がけましょう。
 また、秋の乾燥した空気は、鼻や口を通して呼吸器へと入り込み、体の内側から潤いを奪います。潤いが不足すると、肌の乾燥や、乾いた咳、のどの痛みなどのトラブルを招くので、「体に潤いを補うこと」が秋の食べ方の最大のポイントになります。
 漢方では、酸味と甘みを組み合わせて摂ると体を潤すと考えられています。梨、ぶどう、柿など秋の果物がお勧めです。大根、山芋、蓮根、白ごまなどの「白い食材」にも体を潤す力があるといわれているので、普段の食事に白い食材を取り入れて潤い補給を心がけましょう。
(2024年10月号掲載)

冬の始まり「立冬」と「小雪(しょうせつ)」

 11月の二十四節気は、冬の始まりを表す「立冬(7日頃)」から始まります。暦の上では、立冬から立春の前日までが冬の季節となります。「立」という字には「新しい季節になる」という意味もあり、立春、立夏、立秋と並ぶ季節の大きな節目でもあります。立冬の次は、山々にわずかな雪が見られ始める頃を意味する「小雪(22日頃)」へと続きます。この頃には山から雪の知らせが届き始めますが、まだほんのわずかな雪なので「小雪(しょうせつ)」と呼ばれるようになりました。里では紅葉の見頃も終わり、木の葉が舞い落ちる様子から、本格的な冬がすぐそこまで近づいていることが感じられます。
 漢方では、冬に起こる不調の原因の一つに「秋から続く乾燥に寒さが加わること」が挙げられます。初冬になっても潤い不足が続くと、体の内側(特に喉や鼻などの粘膜や呼吸器官)に影響が現れ、体のバリア機能が低下し、風邪やウイルスなどに感染しやすくなると考えられています。コロコロとした硬い便は、体内の潤いが不足しているサインです。
 この時期に旬を迎える食材(白菜、大根、蓮根、ほうれん草、柿、みかんなど)には潤いを補う効果が期待できます。旬の食材を上手に取り入れ、寒さ対策と併せて体の内側から潤いを補い、本格的な冬を迎える準備をしましょう。
(2025年11月号掲載)

12月の二十四節気「大雪(たいせつ)」と「冬至」

 12月(7日前後)に訪れる二十四節気は「大雪」です。雪が降り積もる頃という意味で本格的な冬の訪れを意味します。その次は1年でもっとも昼の時間が短い「冬至(22日前後)」へと続きます。冬至は、太陽の力がもっとも弱まった日であり、「一陽来復」ともいわれ「この日を境に再び力が蘇り、運も上昇する」という前向きな意味合いを含んでいるそうです。この頃になると、自然界では厳しい寒さから身を守るために植物は葉を落とし、動物たちも冬眠するなど春の活動期に備えてエネルギーを蓄えます。昔から「冷えは万病のもと」といわれるように、冬は体の冷えによって血行が悪くなり、コリや痛みが出たり、免疫力が低下して大きな病気にかかりやすくなります。秋から続く乾燥も冬はさらに厳しくなるため、冷え対策と同時に潤い対策も重要です。
 冬の食べ方としては、体を内側から温める食材と潤いを補う食材を摂るのがポイントです。鶏肉、エビ、サケ、ブリなどはエネルギーを補い体を温めます。季節の野菜(白菜、大根、ニラ、ほうれん草など)と生姜、ニンニク、長ネギなどの薬味を加えて熱々でいただく鍋料理は、「温め」と「潤い」両方の効果が期待できるのでお勧めです。12月はイベントも多く、忙しい日々が続きますね。楽しい時間を過ごした後はゆっくりと体を休めて、エネルギーを充電するように心がけましょう。
(2024年12月号掲載)

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