イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

食品工場での衛生管理のポイント(1)

イカリ消毒編『食品工場必携 食品衛生べからず集』(2009年発行)改編

毛髪混入防止対策

 一般的に、1日に抜ける髪の毛は平均55本といわれていますが、それらはいつ抜けるかわかりません。そのため、皆さんの通勤着には出社するまでに抜けた髪の毛が付いていることがあり、通勤着を清潔な作業着と接触させると、抜け落ちた髪の毛やほかの毛髪※ が作業着に付着するおそれがあります。この行為は、異物となる「毛」を場内に持ち込むことにつながり、異物混入の原因になり得ます。作業着は、通勤着との交差を避けて管理しましょう。そして工場内でできるだけ毛髪を落とさないようにするために、(1)体の汚れや古い角質、抜け落ちる予定の毛髪を入浴して洗い落とす、(2)家庭で洗髪や洗顔をしっかり行い、抜け落ちる予定の髪の毛や眉毛などを洗い落とす、(3)ブラッシングによって、その日に抜け落ちる予定の髪の毛を取り除く、を実施しましょう。
 また、作業する際にかぶるインナーネットや帽子は、髪の毛が製品に入らないようにするために必要なものです。髪の毛がはみ出ないようにきちんとかぶりましょう。ケープ付きの帽子は髪の毛の落下を防ぐのに適していますが、作業着の首元のファスナーをつい緩めたくなるものです。しかし緩めてしまうと着衣が乱れ、開いてしまった首回りの隙間から髪の毛が落ちる可能性があります。職場で決められたルールどおりに着用しましょう。
(2024年2月号掲載)

※ 人体の体表に生ずる毛の総称

手洗い

 作業前の手洗いは石けんを使い、工場で決められた手順どおりに実施します。その際、ものに触れるところ、つまり手のひらや指を洗うことに一生懸命になりがちです。しかし実際には、手の甲や爪、手首など、無意識のうちに手全体を使ってさまざまなことを行っています。洗いやすい場所だけではなく、汚れが付きやすい個所も意識し、洗い残しのないようにしなければなりません。特に爪は、塵や有機物、脂肪物など栄養に富んだ”ゴミ“が積もり、雑菌の絶好の棲家になります。爪を切るといった日常的な手入れに加えて、専用のブラシを使用し爪の溝まで洗うなど、手洗いの効果を上げることが重要です。
 そして、手洗いの後にはすすぎを十分に行うことも重要です。すすぎが不十分であると、洗剤や汚れをすべて落とし切れず、手洗いする前より不衛生になることがあります。手のぬめりや洗剤の泡が感じられなくなるまで、流水で20秒以上すすぎましょう。
 水に濡れた手は、乾いた手に比べて雑菌が付きやすい状態になっています。また手を殺菌する際に、手に水分が残っているとアルコールなどの殺菌剤の濃度が薄まり、その効果を十分に発揮することができなくなります。すすぎの後には、ペーパータオルやハンドドライヤーなどで十分に水気を除去しましょう。
(2024年4月号掲載)

作業場内への入場

 工場の入場口には作業場内の衛生管理に必要な設備(手洗い場、エアシャワー室など)が備えられています。また、作業場で必要となる「身だしなみ」をチェックするための鏡も設置されています。決められた入場口以外から作業場内に入ってしまうと、これら設備を使用しないことになり、作業環境を維持・管理することができません。決められた入場口を、きちんとした手順で通るようにしましょう。
 エアシャワーは強い風を当てることで、作業着に付着した毛髪や異物を除去する設備です。シャワー室に入ったら、体を叩いたり回転したりして隅々まで風を当てるようにしましょう。またエアシャワーには、定員と使用時間が定められています。「急いでいるから」といって定員以上がシャワー室に入ると、十分な風が当たらず毛髪や異物が除去できません。定員と使用時間は必ず守るようにしましょう。
 粘着ローラーは作業着に付着した毛髪や異物を除去するためのものです。決められた手順に従い、頭から下に向かって丁寧にローラー掛けをしましょう。特に肩や背中、下半身、作業着のシワなどは入念に行うよう心掛けてください。粘着ローラーは粘着力の強い状態で使うことが必須です。使用後は粘着面を剥がし、次の使用者が粘着力の強い状態で使用できるようにしましょう。
(2024年5月号掲載)

訪問者にも入場ルールを遵守させる

 訪問者を無断で入場させてしまうことは、相手が意図する・しないにかかわらず、作業場内に異物などが持ち込まれるおそれや食中毒を起こすなどの危険をはらんでいます。企業によっては、情報セキュリティや事故防止の観点から訪問者の入場を制限しています。もし入場させる場合には、あらかじめ定められた手順・ルールに従ってもらうようにしましょう。
 これは取引業者などであっても同じです。特に自社にとって重要な方であった場合、「手間をかけさせては…」と入場手順やルールを省略してしまいがちですが、それは厳禁です。特別扱いされた訪問者は「こんなことで大丈夫か?」と、配慮したつもりが逆に無用な心配を抱く可能性もあります。
 作業場の衛生管理は、全員で取り組むことが基本です。作業者・訪問者ともに分け隔てなく一緒に取り組んでもらうようにしなければなりません。管理職の方は、特に注意するようにしましょう。
 また、入場時に訪問者やほかの作業者などと会った場合には、積極的に明るく挨拶しましょう。日々挨拶を交わし、互いのコミュニケーションを向上させることで、身だしなみチェックや、声から体調を察することも可能となるだけでなく、不法侵入者対策にもつながります。
(2024年6月号掲載)

原料と仕掛品の管理(1)

 納入された原料は、表示(原料名、使用期限など)の確認、品温、外装の破損の有無など決められた項目の検査を確実に行うことが重要です。
 原料受入れの際、製造室内に直接段ボールなどで搬入を行うと、雑菌や異物、虫なども一緒に持ち込んでしまう可能性があります。そのような危険を防止するため、段ボールから出して持ち込むか、決められた専用の容器に移して持ち込むようにすると良いでしょう。
 また、製品や原料を床に直置きすると、床からの雑菌や異物が付着する可能性があるほか、水はねや落下物など、製造工程以外の周囲の環境によって微生物汚染や異物混入を起こしてしまうこともあります。製品や原料は床に直置きせず、膝の高さ(床から30cm程度)以上を目安に置くようにしましょう。一度でも床に落ちてしまったものにも、目には見えないたくさんの雑菌が付いています。落ちたものは使用せず、必ず廃棄するようにしてください。
 仕掛品(半製品)を保管する際に覆いをしていないと、異物混入を起こす可能性があります。必ず覆いや蓋をするようにしましょう。また、素手で原料や仕掛品を触ると、手指に多数付いている雑菌により汚染してしまう可能性が高くなります。特に加熱などの殺菌がない食品の場合、原料や仕掛品に触れる際は、清潔な手袋を着用するようにしましょう。
(2024年7月号掲載)

原料と仕掛品の管理(2)

 原料と仕掛品は別々の場所に保管する必要があります。もし原料が仕掛品に誤って混入してしまった場合、安全な製品が作れなくなってしまうことになります。また、原料と仕掛品を取り違えて使用した場合も同様なことが起こりかねません。
 工場には、見た目がとても似ている原料がたくさんあると思います。たとえば、多くの食品添加物の見た目はどれも「白い粉」ですね。仕掛品も同じことがいえるものがあるでしょう。まして、それらを非常に似通った容器に入れていたら、誤って使用してしまうかもしれません。そうなれば、もともと作ろうとしていた製品と異なるものができてしまうわけですから、大きな問題となってしまいます。類似した原料や仕掛品を誤って使用しないために、保管箱の色分け、中身や使用期限、使用用途の表示などの識別をするようにしましょう。
 原料や仕掛品の前を通るとき、ぶつかることはありませんか。原料や仕掛品にぶつかると、その衝撃で容器が破損したり、作業着に付着している埃や毛髪が落下するおそれがあるので、置き場所の再検討が必要です。また素手で原料や仕掛品を触ると、雑菌で原料や仕掛品を汚染してしまう可能性が高くなります。特に加熱などの殺菌工程がない食品の場合、原料や仕掛品に触れる際は、清潔な手袋を着用しましょう。
(2024年8月号掲載)

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