イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

食品工場での衛生管理のポイント(4)

イカリ消毒編『食品工場必携 食品衛生べからず集』(2009年発行)改編

機械・器具の点検を怠らない

 工場では、始業前に機械などの点検を行います。始業前点検では、機械に破損やネジ抜けがないかを確認し、作業中に見つかった破損やネジ抜けがその日に発生したものかどうかを判断できるようにします。もし始業前点検を行わなければ、いつ破損やネジ抜けが起きたのかわからず、破片やネジの探索が困難となり、最悪の場合は異物混入につながるおそれがあります。
 また異物検出機は、常に完全な状態で作動するわけではありません。使い続けるうちに設定がずれてくることもあるため、使用前と使用後に必ず作動確認を行い、その時間帯は正常に稼働していたことを確認する必要があります。また、精密な機械であるため、メーカーが定める頻度で専門点検を受けることも重要です。
 さらに、温度管理は食品製造現場における重要な管理項目です。通常、温度確認には温度計を使用しますが、時間の経過とともに実際の温度との間に誤差が生じます。その結果、加熱が目標温度に達していなかったり、冷蔵庫の温度が想定より高かったりする可能性があります。このため、実際の温度と温度計の表示との差を定期的に確認し、必要に応じてシールで補正値を表示したり、温度計そのものを補正したりして、正確な温度がわかるようにしましょう。
(2025年10月号掲載)

設備の配置は床や壁からスペースをとる

 食品工場には大きな機械や棚などさまざまな設備があります。しかし、それらを工場内に配置すると見えない部分が多くできます。普段の作業で目に付きにくい代表的な箇所として、機械や棚などの下部スペースが挙げられます。特に機械の下部スペースに汚れが溜まると、虫が発生し、食品への混入リスクが高まります。清掃がしやすく、また点検しやすくするには、最低でも床面から30cmのスペースは必要です。そして、機械などは壁から45cmは離しておくことが重要です。このようなスペースを設けることで、汚れが見つけやすくなり、清掃なども楽になります。
 加えて、機械を選ぶ際には、その構造条件にも十分注意しましょう。主なポイントは次のとおりです。
 ・製品の接する場所や機械表面は平滑で、汚れが付きにくいこと
 ・汚れの入り込む隙間がないかを確認するため、手の届く構造になっていること
 ・余計な隙間や折返しなどは埋め戻されており、昆虫類が入る隙間がないこと
 ・汚れやすい場所とその周辺は、分解が容易な構造になっていること
 ・電機部分は耐水構造になっており、湿式の清掃が可能であること
(2025年12月号掲載)

ドアや窓は必ず閉める

 ドアや窓は「開けたら必ず閉める」が基本です。外部と直接つながるドアや窓が開け放たれていれば、虫が自由に工場内へ入り込むのは容易に想像できます。たとえ屋外と直結していない場所であっても、いったん侵入した虫は工場の奥へ奥へと移動し、やがて定着してしまうおそれがあります。したがって、ドアや窓を開けたらすぐに閉めるを徹底することが、虫の侵入防止の第一歩です。一人ひとりが意識し、確実に実践することを心がけましょう。
 また、出入口・前室の構造における主な条件は以下のとおりです。
・出入口は「人用」「荷物用」など、用途ごとに区分されていること。
・ドアは自動開閉型であること。
・外部から製造室に至るまでの間に、前室またはそれと同等の機能をもつ部屋が2つ以上設けられていること。
・各前室内には、適切な捕虫・駆除設備が備えられていること。
・前室における扉間の距離は5m以上が望ましい。
・資材・製品の搬入口などは、インターロック式(2枚の扉が同時に開かない仕組み)が望ましい。
・前室内およびその周辺は、虫の隠れ家となるような物を置かず、整理整頓を徹底すること。
(2026年1月号掲載)

記録をつける(1)

 加熱温度の確認記録や異物検出機の動作確認記録、清掃の実施確認記録など、記録とは、「きちんと実施したこと」「確実に確認したこと」を示す”証拠“です。いくら口頭で「やりました」と説明しても、それは何の証拠にもなりません。また、記録は後になって証拠として用いられるものです。そのため、内容が正確でなければ意味がありません。記録をつける際には、現状をよく確認し、事実をありのままに記載することが重要です。「よくないこと」は誰しも記録に残したくないものですが、見たまま・測ったままを記載しましょう。
 さらに、製造作業中に忙しいからといって、記録を後回しにしてはいけません。「覚えておいて、あとで記録しよう」という対応は、”記録“ではなく”記憶“に頼ることになります。その結果、誤った内容を記録してしまったり、記録そのものを忘れてしまったりするおそれがあります。正しい記録を残すためには、記録が必要なタイミングで、リアルタイムに記載することが基本です。
 そして、記録は実際に作業や点検を行った本人が記入することが必須です。代筆してしまうと、誰が実施したのかがわからなくなり、記録の信頼性が損なわれます。「忙しそうだから代わりに書いてあげよう」といった配慮は、かえって問題を生むため、行ってはいけません。
(2026年3月号掲載)

記録をつける(2)

 加熱温度の確認記録、異物検出機の動作確認記録、清掃の実施記録などは、皆さんが実施したことや確認したことの証拠となるものです。そのため、失敗や間違い、または実施が決まっていたのに行わなかったことなどの「よくないこと」は、誰でも記録に残したくないと感じるものです。しかし、事実と異なる内容を記録してはいけません。皆さんが日々記入する記録は、上司が確認します。「よくないこと」の記録を見つけたときには、その原因や改善策を考えます。もし嘘やごまかしがあると、何をどのように改善すればよいのかがわからなくなってしまいます。「よくないことは、改善のための大切なヒント」と考え、正直に正確に記録しましょう。
 また、記録をつけるとき、必ずしも間違いなく記入できるとは限りません。時には、記入ミスをしてしまうこともあるでしょう。誤って記入してしまった場合は、必ず訂正を行ってください。ただし、修正液や修正テープを使ってはいけません。これらを使うと、「不都合な記録を修正して隠したのではないか」と疑われるおそれがあるからです。訂正する際は、誤った内容がわかるように二重線で消して(可能であればサインや訂正印を押し)、その近くに正しい内容を書いてください。これが正しい訂正方法です。
(2026年4月号掲載)

記録をつける(3)

 記録は、それぞれ決められた用紙(帳票)に記入することになっています。これは、「どのような内容を記録すべきか」「どの情報を証拠として残しておく必要があるのか」といった点を検討したうえで、必要な記録項目が設計されているためです。したがって、指定された帳票以外に記録した場合は、正式な記録とは認められません。必ず定められた帳票に記入するようにしましょう。
 製造現場では、記録用紙が濡れたり汚れたりすることがあります。そのため、「記録は長期間保管するものだから、きれいな用紙のほうがよい」と考え、現場で書いた内容を事務所で新しい用紙に書き直すケースも見られます。また、現場ではいったんメモ用紙などに書き留め、後から指定の帳票に書き写している人もいるかもしれません。しかし、この「書き直し」「書き写し」は適切とはいえません。記録は、その時その場で起きた事実を、ありのままに残すことが重要です。現場でリアルタイムに記入された記録こそ、その出来事が実際に起きた証拠となります。後から書かれたきれいな用紙では、改ざんを疑われる可能性もありますし、書き写す際に内容を誤ってしまうおそれもあります。記録は必ず現場で指定された帳票に直接記入し、そのまま保管することが基本です。新しい帳票への書き直しや書き写しは避けるようにしましょう。
(2026年5月号掲載)

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